2018年9月18日火曜日

最も買いのモニタは31.5インチWQHD

見やすさを数字に落とし込み、コスパで比較。

【スコアリング基準】
・解像度が大きいほうが勝ち
24インチだけど640x480とか誰も欲しくないよな

・画面サイズ(面積)が大きいほうが勝ち
フルHDだけどスマホ並みの大きさだったらスマホ使うって話

・dpiが小さいほうが勝ち
文字が大きく見えるほうがいい。乱視だし。
Windowsの標準は96dpiなのでここを中心に考える。

【dpi計算】
FullHDWQHD4K
よこpixels192025603840
たてpixels108014402160
よこ比率161616
たて比率999
対角線比率18.3618.3618.36
対角線pixels220329374406

FullHDWQHD4K
21.5102.5136.6204.9
2395.8127.7191.6
23.892.6123.4185.1
2781.6108.8163.2
31.569.993.2139.9

以上より、27インチ以上のFHDは無駄にドットがでかい
こととなるので実際の数字差っ引いて考えるのがいい。
ただし目が悪い人にはむしろおすすめなのであえて減点はしない。
個人的には少しドットが目立つくらいが好みではある。

【面積・解像度・dpi総合力】
計算式は
面積:インチ数の二乗
解像度:たてピクセルxよこピクセル
文字の大きさ:dpiの逆数

以上の 面積×解像度×文字の大きさ÷10000 で出された値。

FullHDWQHD4K
21.593612471871
23114515272291
23.8126916922538
27185324703706
31.5294239235884


【結果】
最も高い結果となったのは31.5インチの4K。
dpiからするとノートPCにおける標準での文字の大きさを
想像していただくとそれに近いイメージ。
スケーリングかまして文字を大きくしている人にはおすすめしない。

【Amazon.co.jp限定】LG モニター ディスプレイ 32UD60-B
31.5インチ/4K/VA 非光沢/HDMI、DisplayPort/スピーカー搭載/高さ調節対応

相場的にもう4万円台まで落ちてきてきる。
スコア単価で言えば1ポイント7円程度。

次点は31.5インチWQHDが27インチ4Kとほぼ横並び。
しかし27インチ4Kというのはほとんど市場にないため
実際は31.5インチのみ。

Acer モニター ディスプレイ EB321HQUBbmidphx
31.5インチ WQHD(2560 x 1440)/IPS/スピーカー内蔵/HDMI端子対応


I-O DATA WQHD モニター ディスプレイ EX-LDQ321DB
(WQHD[2560×1440]/広視野角ADSパネル/DisplayPort/
 スピーカー付/3年保証/土日もサポート)


いずれも価格は3万程度。
スコア単価はやや上がるがそれでも1ポイント7円台で
大差はない。
大きすぎるのも問題なのでこのあたりが最適解かと。
dpiも96に最も近いあたり。
24インチフルHDの文字サイズそのままにデスクトップ領域を
大きくしたいと思うひとにはうってつけ。

ただし後者のアイオーのほうは高さ調節がついてないので注意。


---

2018Dec追記

【メモ】古いPCで4K動画を再生する方法
まかりまちがって4Kモニタだけ買ってきた人がいたのでメモ。


■Youtube動画が重い理由
直接的な原因:従来と異なるvp9コーデックで圧縮している

原因:CPUやビデオカードがvp9動画の再生支援機能を積んでない

解決法:PCを買い替えるか、ビデオカードを買い替える

出費をともなうが、ビデオカードだけならせいぜい1万円。
nvidiaであればGT1030以上であればOK。


■お金かけたくないから自前で変換するわ
旧いPCでも当然にH264再生支援は積んでいるので
x264でエンコしてしまえばいいのでは?
→そうはうまくいかないケースあり。

原因:4K@60HzはH264の規格外のため再生支援が効かない

解決法:WQHD@60HzならOK

H264の上限は
・フルHD@120Hz
・WQHD@60hz(画面サイズ2倍、フレームレート1/2)
・4K@30Hz(画面サイズ4倍、フレームレート1/4)
となっているので、ぬるぬる優先ならリサイズが必要。
また、古いHDMI1.4規格の上限も同様であるので、結局
ここでも制限が入ってしまう。
PC買い替えない前提であればやはりWQHDがベスト。


■変換が遅い・・・
WQHDならいけることはわかった、しかし。

原因:4コアCPUの処理能力をもってしても不足

解決法:ビデオカードを買い替える
上記よりひとつ前の世代でOK、3000円のGT710でいい。

ffmpeg等でnvencを使用すれば倍速い。
ただし手元の環境にゃQSVは4K動画が手に負えないのか、
爆速エンコードというわけにはいかなかった。

2018年5月17日木曜日

中古車は何年落ちまで買っていいのか

ここでは乗用車ベースで見に行く。
データは以下のもの(乗用車計、3・5ナンバーあわせたもの)を基にし
グラフを作成した。

一般財団法人 自動車検査登録情報協会
わが国の自動車保有動向
https://www.airia.or.jp/publish/statistics/trend.html

・保有台数


グラフを見るとH13年式にいたっては100万台を割っており、これは
21世紀に登録されたクルマの3%に満たない。
よって、ほぼ好き好んで乗るものでないと言っていい。
一方世の中では新車ホヤホヤに乗ってる人が多いことがわかる。
みんなお金持ちね。

・減少割合


この数値をこう勝手に読み替えてみる。



H28年度中(2016年4月~翌3月)で、最も手放された年式は台数ベースでは
H15年度のもの。
売れたモデルや景気・需要サイクルなどもあるので割合で見てみると
上記のとおりH17・19年度に初度登録したものが多かった。
n年落ちを車検ベースでみると3+2x5=13(年目)以降2年ごとに高いため、
それぞれ14年目・16年目・以下略に受ける車検前のタイミングで
手放されたと推測される。

傾向としては14年目(6回目)の車検を前に手放すグループが先行して存在し、
これがその年度において残存ユーザーの1割強が動く。
次に大きく動くのは16年目(7回目)の車検前での抹消組。
この時点でその年度に登録されたすべてクルマの半数がドロップアウト
することとなる。
これを言い換えると、

世の半数のクルマは7回目の車検を受けない

ということになる。
この点について次項で広げる。

・自分で書いててこんがらがってきたのでメモ
~ここでの車検ベースの数え方~
3 / 5 / 7 /  9 / 11 / 13 / 15(年後)
4 / 6 / 8 / 10 / 12 / 14 / 16(年目)
1 / 2 / 3 /  4 /  5 /  6 /  7(回目)

・どこまでなら買いか
やっと本題。
上記の減少率を積み上げたものを残存する割合の目安としておく。



この結果を10%ずつ区切ってドロップアウトする期間を見てみる。
数字はだいたい。

90% 7年目
80% 10年目
70% 12年目
60% 13年目
50% 15年目
40% 16年目
30% 17年目
20% 19年目

こうして見ると、3割の時点でやや下げ止まりが見られる。
以降はよほど廃車にしたくない層がいるのだろう。
およそ17年目で7割の車が死滅するが、ここらがコスト的に
絶対的な耐用限界を迎えるものと思われる。
また、16・18年目にいたっては1年以上車検が残って
いるにもかかわらずそれぞれ1割以上の残存ユーザーがクルマを
手放すことを決意していることがわかる。
ということは、何かしら買い替える必要性・イベントが
その時期に発生する確率がそれだけある
とも推測できる。

さすがに3割まで維持するとなると確率的に厳しいし修繕コストも
バカにならないので平均である15年目いっぱいまで維持するのが
まあOKというラインだ。

よって現時点(H30)では

2年運用:H17年式・14年目(6回目の車検を受けた直後)~15年目
4年運用:H19年式・12年目(5回目の車検を受けた直後)~15年目
6年運用:H21年式・10年目(4回目の車検を受けた直後)~15年目

という運用がリスクが小さい。
16年目以降は壊れるまで乗って、コストがかかるようならもう諦めるという
考え方もアリだが、もーダメな頃合いなのでいざ壊れて慌てるよりは
車検通さず手放したほうがいいと個人的には思う。

ここでたとえば予算月1万円ペースで減価償却を考える場合、

残り2年前提のH17年式なら24万円
残り4年前提のH19年式なら48万円
残り6年前提のH21年式なら72万円

このあたりがラインとなる。
このラインをもとに、その年式の中でより安く走行距離の短いもの
その他状態のいいものを探すとよろしいんじゃないかと。

現状、H23年は少し差があるがH19年とH21年で価格差があまりなかったり
するのでH21あたりをチョイスするといい買い物になる。

ただし中古であるがゆえどうしてもメンテ費用は発生するので
ベストは上記基準より安いものをチョイスしつつ差額をメンテ費用として
予めプールするか毎月積み立てておく心構えが必要。

10万km前後で壊れやすいオルタネータはリビルト品で数万程度で
交換がきくが(人生で4回交換したのでもう慌てない)、エアコンとなると
10万は見ておいたほうがいいというか実際問題まず廃車決定。

現実的にはメンテ費用を確保できない残り2年運用は向かないし
残り2年も乗らないクルマを直すかというとまー直さないのが人情なので
24万まるまる本体取得費用にまわして実質壊れたら直さず終了くらいの気持ち。

よって現実的には4~6年運用を見越し、修繕費用として10数万余力を
残した額をイニシャルコストに振り分けるといい。

例)4年運用(12~15年目:H19年登録車)、月1万円ペース
48ヶ月x1万円=総額48万円
本体価格:32万円(総額)
修繕準備費用:差し引き16万円

ここで残り2年切った時点で修理費が高くつくようなトラブルが発生したら
上記に同じく修理はあきらめるのも一考。
要するに、これまで/これからのコストベースが予算内に収まるのはアリ
だが、超えるのはナシだ。

確率的に5割は心もとないのであればもう2年ずつ使用開始〜終了まで
スライドすることで修繕費用見込みを低く抑えつつその分を取得費用に
まわす戦略もありかと。
要するに、単純に経過年数と不具合が発生する確率に相関関係があるならば
お金で新しさ=壊れにくさを買い、その分対策費用を削る考え。
ただし壊れるときは壊れるので、そのときあわてないように。

例)4年運用(10~13年目:H21年登録車)、月1万円ペース
48ヶ月x1万円=総額48万円
本体価格:43万円(総額)
修繕準備費用:差し引き5万円


【まとめ】

オイルやタイヤなどのメンテナンスや車検を除いた月々のコストと
運用年数をまず決めよう。
リスクを抑えるなら修繕費用を余裕もって見積って、残りの額の範囲内で
車両取得にかける。
多少追加での修繕費のリスクを取れるならば、ワンランク高年式にいって
不具合発生のリスクヘッジをしつつよりヘタリの少ないものをチョイス。

2018年5月8日火曜日

EF55-200mm F4.5-5.6 II USM

おまけでキヤノン望遠ズームレンズ3種比較。

【総評】
キスデジの登場とともにリリース。
中古オク相場はおおむね1000円台。

キットレンズはのちにテレ端が50mm伸長かつISつきの
EF-S55-250mm F4-5.6 ISにとってかわられることになるが
まがりなりにもデジタル前提だけあってそこそこの実力。
DLO対応であるため人気があってもよさそうだが、世のお金持ちは
レンズキットをお求めになっておりかつニーズはAF速度でなく
手振れをどうにかしたい方向なようで今日び相手にされない子。

もし手ブレ補正が要らないのであればEF-S55-250mm F4-5.6 IS STM
よりこちらを手に入れるとかなりコスパいいんじゃないかと思う。
もちろんAF速度なんか要らぬという人には向かないが。

【画角】
前玉繰り出し方式のためインナーフォーカス方式に比べると
最短撮影距離近辺では
15%程度焦点距離が長く大きく写る。
一方ワイ端∞遠では、実際に比べたわけではないが55mmより
もう少し広角寄りの印象で体感的には40ミリそこそこ。
表現が適当だが、左右の目を開けた状態で見えるものの大きさが
見事に一致する具合。
よってIF方式の逆で近くのものはより大きく、遠くのものは
より小さくなる傾向があるということになる。
その点で言えばIF方式の250mmに比べると実用域では体感的に
200mmとしてはやや物足りなく感じるかもしれない。

最短撮影距離は1.2mとさほど寄れず、そこを切るとまさしく
ウルトラソニック級の高音をモーターが発するので耳にも
精神衛生的にもダメージがあるので無理はしないほうがいい。

【ワイド側画質】
開放F4.5はややにじみあるも縮小前提であればOKなレベル。
むしろ十分シャープといっていい。
1/3段絞った時点でほぼ頭打ちになりここらが常用。
SSも落ちないし開放にこだわることもないだろう。
100mmと違い被写界深度もそこそこあるのでうっかり開放ままで
撮ってもピント外でフリンジがガツンと出るようなこともなく、
DLOで修正可能な範囲の僅かな収差が出るだけで問題ない。

ただやや線が太い感じがして被写界深度内にいるすべてのものが
主張してくるのでコンデジのパンフォーカスで撮ったように
全体的にうるさい画になりがちと感じる。
好みによるがコントラスト・色の濃さを2~3ノッチ抑え気味に
すると自然な仕上がりになるかと。

ともあれ以下に中央部等倍切り出し(よこ4762→840px)貼っておく。
現像オプションはDLO適用以外デフォルトまま。

55mm F4.5 1/1600 ISO200


55mm F5 1/1600 ISO200


【テレ側画質】
開放はボケボケで使い物にならないが絞ると順当に画質は向上しF8で頭打ち。
よって実運用では一段絞ったF8固定でいっちゃう感じ。
一段絞った時点で250mmSTMに比肩するのはポイント高い。
実写比較はのちほど。

【オートフォーカス】
AF速度は俊敏でリングUSMのEF100-300mmUSMに対してひけをとらない。
その一方開放での解像性能の悪さがAFに影響し、コントラストが
甘い被写体・部位にAFポイントが定まると途端にピントが来なくなる。
なので意識してコントラストの高い場所に定める必要があるが
実際は画用紙撮るようなことはまずないと思うので問題はなかろう。
すっぽ抜けてもリカバリ早いし。

ただ一点気になるのは、テストでパカパカやってた際、最短撮影距離
付近のせいか同じポイントでフォーカスしなおすたび微妙にAF位置が
前後する挙動があった。
一度決まったらあとは何度半押ししてもAF変わらずにいてほしいのだが
どうもそういう風ではない。
まあ通常の撮影距離・常用F8では被写界深度的に問題ないレベルなので
別に気にしなくていいっちゃいいが。

なお、つくりがちゃちいせいでAFはガタガタと視界が揺れる。
船酔いする人は要注意。いや冗談だがけっこうなもんよこれ。


■画質比較

後述の実写比較結果をグラフ化したものを先に載せておく。




■実写比較

ここでは下記3種を用意した。
カメラはいつものX3でRAW撮り。

・(200mm) EF55-200mm F4.5-5.6 II USM
・(250mm) EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM
・(300mm) EF100-300mm F4.5-5.6 USM

中心部の絶対的な解像性能を測るべく、下記手順で画像を用意した。

1.2m先にあるネトウヨのみなさんが嫌いな新聞をテレ端で撮る
条件はISO100固定。SSは3種ともに横並びでF8で1/2、F11で1秒であった。

2.RAWを現像。DLO適用以外はデフォ設定

3.Buffで画角がほぼ同じになるよう、下記の通り中心部を切り取る
200mm:640x480
250mm:704x528
300mm:840x630

4.R13で960x720にLanczos4方式で拡大→jpg保存

あまりたくさん載せてもしょうがないので開放と1段ずつ絞った
ものをのせておく。あとはグラフで十分だろう。

※注
カッコ内はアップロード時点での元データの画像サイズで、
blogger側で再圧縮かかった後のものではない。
また、250mmSTMは早々に頭打ちであることがわかっているので
1段絞った時点で打ち切った。

・EF55-200mm F4.5-5.6 II USM

一段絞るとじゅうぶん使える画質になる。
むしろそれ以上絞っても意味が無い。

F5.6(376KB)


F8(438KB)


F11(446KB)


・EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM ※ISオフ

F7.1~F8で頭打ちのためここでは1/3段ずつ絞った結果を載せておく。
明るさからすると開放の画質はまあまあがんばっているが、画質で見るなら
やはりF7.1あたりがベストチョイスだろう。
こうして見ると開放でもギリ食えなくないという点はアドバンテージだが
じゃあ常用しますかと言われるとそーでもないので実運用上、200mmに比べて
SS稼げないため手ブレ補正しかメリットがない。
スポーツや飛んでる鳥などSSを落とせないようなものを撮るのであれば
別にこっち買わなくていいんじゃないかと思う。

というか、絞ったところでガツンと画質は上がらんし200mmと差がないしと
なんか微妙な感じがしないでもない。いや手ブレ補正は有難いけども。
300mmと200mmの間くらいになれば順当なのだがそうはなってない。
これらより純粋に250mmレンズとしてみた場合、大して出来は良くないと
言ってしまっていいと個人的には考える。
あえて言うなら55-200mmに手ぶれ補正がついた感じ。
STMのままでいいから同じくらいの値段で2型出してほしい。

F5.6(422KB)


F6.3(439KB)


F7.1(448KB)


EF100-300mm F4.5-5.6 USM

1/3段の差以上に違いが大きいのでF7.1を追加で載せておく。
F10とF11ではそれぞれ574・573KBとなり差が出なかった。
それにしてもよー写るなこれ。
開放の画質と手振れ補正がない点がいかんともしがたいが使いようによっては
とんでもないお買い得レンズ。
でも万人にはおすすめできない。

F5.6(463KB)


F7.1(486KB)


F8(543KB)


F11(573KB)

2018年4月28日土曜日

ステップダウンリングと似非フジツボフードのすすめ

■おすすめの理由3つ

・フードがわりに
中古で手に入るお手頃価格のキヤノンレンズではフィルター径が
58mmのものが主流。少し前のものだと52mmのものもあったり。
一方でAPS-Cサイズでは焦点距離が1.6倍になるためはっきり言って
センサー外の光は無駄である。
ならば、フジツボフードのよう、いっそ垂直に伸ばすレンズフードの代わりに
光の入り口を水平方向に隠してしまうという発想もアリちゃアリ。
ざっくり計算上は58÷1.6≒37mmまでレンズ前面を塞いでも問題
なさそうではあるしファインダーから(実際は見えないが)見える感じは
結果同じではある。
が、斜めから差す光を想定すればわかる通り、斜めからの光はフードで
完全にさえぎられるが中央に穴をあけただけの代物は通り道が小さくは
なるが直接光は入ってきてしまうので効果は限定的。
また、メタルフードの先端にステップダウンリングをかまして微調整するような
使い方でもいいかも。
まあ、そこまで限界追い求めることもないと思うが、フードの先になんか
見慣れないものがついてるとそれはそれでファッション性として
面白いかもしれない。
「フードは常時逆さに装着すべし」を信条としているとぅっとぅるー♪な
ファッション派の皆さんはぜひここで宗旨替えいただきたいが
ただまあ、わけもかわらずフードを先っちょにつけてるみなさんは
十中八九わけもわからず広角赤ハチマキをお持ちでらっしゃるので
縁のない話であると思うが。


・価格重視で
52mmフィルタはものが小さいため58mmフィルタに比べると
新品では価格が幾分安く、中古では低反射率や防汚コーティングを
謳う高級フィルタで状態のいい中古品も需要がないため投げ売り
だったりといいことづくめ。
(ニコンではこっちがデフォっぽくて羨ましい)
よほどの広角レンズでない限り(というか、広角だったらフィルタ径も
でかいことだろう)ケラれないのでデフォで52mm化しておくのもテ。
(EF-S標準ズームではさすがにおすすめしないが)
100円そこそこのステップダウンリングひとつでまず数百円は
おつりがくるので必需品といっていい。
お高い58mmフィルタ買う必要なんてどこにもない。

・絞りの発想
上記フードの考え方に近いが、こっちは絞り固定レンズのフロント側に
絞りを加えるような発想。
厳密なサイズは異なるが58mm径を52mm径に狭めることにより
光の通り道をレンズ外周側から約20%絞り、その分不要な光が
レンズ内に侵入するのを排除することができる。
レンズ加工技術・コーティング技術の進んだEF-Sレンズなら特段
気にしなくていいが、さほど出来のいいものでもない時代の
ものなら少しでも削れるだけ削っても決して損にはならないだろう。
誤解のなきよう書くが、絞りの手前側へはあぶれた光はやって
これない。
ここで防ぎたいのは主に前玉から絞り環の間でピンボールのように跳ね回る
光そしてレンズ外周部を通る光であって、絞りによって発生しうる回折光ではない。

もういっちょ49mmやそれ以下に絞ってもいいっちゃいいが、
逆にフィルタの調達が高アタリになりそうであるしフードの
口径もより狭まり深くしづらくなるためこれまた52mmで
とどめておいたほうがいいんじゃないかしら。

ただ、直径6mm削ったところでフィルタ枠がレンズの枠より小さく
なることはほとんどなく、あってもごく僅かなのだが。

注意点含め次にここらへんについて書く。


■ステップダウンリングと有効口径との兼ね合いについて

あまりに小さいステップダウンリングをかますと場合によって
不都合が発生する。
ここではEF100-300mm F4.5-5.6 USMを例に挙げる。

100-300mmなのでW端はもちろん100mmである。
APS-C換算では160mm相当となり、かなり画角は小さい。
どれほどかというと市販品ではたぶん存在しないサイズの、工作で
作ったφ20mmの模擬SDリング穴さえケラレなく写してしまう。

じゃあそのまま使えますかねっていうとそうは問屋が卸すわけでなく
100mmの時はAFは機能するが、どういうわけか300mmだとAFが
迷ってしまいまったくピントが来なくなってしまった。

ここで問題を解くカギは開放F値と有効口径。

・100mmのとき
開放絞りはF4。有効口径は割り算した25mm(直径)。
有効口径はレンズ前面(模擬SDリングと大体同じ位置)を通る
まっすぐな光の太さをあらわす。

このとき、模擬SDリングは直径20mmであり直径25mmの光を
さえぎるが大きく削ることはないので問題は発生しない。

・300mmのとき
開放絞りはF5.6。有効口径は約53.6mm(直径)。
どっこいレンズの先では上述の直径20mm穴しか開いておらず、本来
通るはずの光の量をまったく確保できていない。
オートフォーカスは絞り開放でなされるので、AFが機能するには
暗すぎるのである。
ファインダーを覗いた時点で暗いので明らかに明るさが足りない
ことがわかる。

よって、AFを正常に機能させるにもきちんと十分明るく写しとる
にも最低φ54mm以上の光の通り道を確保しなくてはならない。

要するに、W端でフルサイズ相当の画角は割り込んでもいいが
有効口径は割っちゃダメってこと。
この点で言えばフィルタ52mm化は計算上若干割っている。
が、APS-Cでは影響のない範囲であるのか、シャッタースピードに
変化はなかった。

一方画角だけで見れば、58÷1.6≒37mmステップダウンリング
(穴の大きさ35mmくらい)かますくらいなら問題なさそうだが
実際はAFは動作するも開放F5.6においてシャッタースピードが
1/160から1/60になってしまった。
撮り比べてみると実際は0.83EVの差だったので1.83のルートで
1.35×35mm=およそ47mmの穴がギリギリ最低ラインで必要と
計算上導かれた。
ねじ分で2mm程度なのでギリ攻めるのであれば49mmステップダウンと
49mmステップアップの組み合わせをかますとよいのだがしょせん
52mmにもーちょい削っただけなので52mm化するだけでじゅうぶん
いっぱいいっぱいとしていいだろう。
ただ実際、49mmステップダウンでもシャッタースピードに変化は
見られなかった。

ともあれ、有効口径は割らないのが賢明。
計算上の有効口径からギリギリまで削るにしても、10~15%減
くらいにとどめておいたほうがいいと思う。
実際はまず先に画角を割り込んでしまうはずなので300mmなんて
長焦点でない限り画角だけみてりゃいいって話だと思う。


■似非フジツボフード焦点距離目安(フード併用)

フードを長く伸ばしたほうが遮光効果はあるのはもちろんだけど
コンパクトさも大事よねという観点でみていく。

表は2cm高のフードを装着した時点でのフィルタ径。
焦点距離は35mm換算の物(1.60倍)。
要はどのサイズのステップダウンリングなら、フードによって
レンズから2cm伸びた地点でケラれないかって話。
言い方を変えると、ハナから口径の小さいレンズフードをかますのと
口径の大きいフードをかましてステップダウンリングですぼめるのは
効果はいっしょだよねって話。

レンズ側オスφ58mm径フードならメス側フィルタ径の大きさはφ62mm、
レンズ側オスφ52mm径フードならメス側フィルタ径はφ58mm。
※黄色セルは市販のステップダウンリングサイズ

フィルタやステップダウンリングの厚みで幾分焦点距離が
増すため数ミリ余裕を持つといい。
タイトめになるとねじの締め付け具合でギリギリケラレたり
解消したりする。
また、口径サイズ比は単純にサイズ比で求めたのであって
実際にはあるだろうねじ穴分の差異は考慮していない。

数字の根拠はいかのとおり。
・58mmフィルタ+58mmフードにおいて
45mm相当で問題なかったため、1mmマージンとってはじまりを44mmに設定
実際はもう少し余裕あると思うが安牌切っとく。



□装着例
58→52mmステップダウン+52mmフィルタ+52mm径フード+58→49mmSDリング



計算上ギリなため念のためここで使用したのは中華製でなく
日本製の薄枠52mmステップダウンリングとこれまた薄いハクバのULTINA。
実際はAFで動く範囲ならそこまでしなくても問題ないはず。


■似非フジツボフード焦点距離目安(フードなしのポン付け)

極限までコンパクトにしたいならフィルタにそのままステップダウン
リングをかましてやればいい。
有効口径はおいといてEF-S18mm/EF28mm標準ズームで58mmフィルタが
ケラレなくつけられるんなら画角を単純に計算していけばいい。
下表は35mm換算での焦点距離(1.60倍)と必要なフィルタ径。
実際はちょびっとくらい余裕あるはず。



表からするとφ37mmステップダウンリングはAPS-C35mm→56mm相当では余裕でクリアしており
実際28-90mmのW端(45mm相当)でも問題なし。
ただ上述の通り、遮光効果は限定的なのでこういう使い方は
通常のフードがわりとしては特段おすすめしないが、順光に
保険かけるような気持ちなら十分だろう。
煩わしいレンズキャップの脱着が嫌いな人にはおすすめ。

□装着例(EF35-135mm F4-5.6 USM)
58→52mmステップダウン+52mmフィルタ+52→37mmSDリング



【実写】

ここではW端のケラレ有無でなく不要光排除の効果有無を見に行く。
設定はいずれもISO400・F8・1/1000・テレ端。
計算上有効口径は135/8≒17mm(<37mm)

37mmリング非装着時


中央部切り出し


37mmリング装着時


中央部切り出し


ま、どっちも変わらないよね。絞ってるし。

2018年4月14日土曜日

メタルフードのすすめ

Amazonで売ってる謎中華製品ははたいてい中華サイトで
半値で買えるわけでして。
義務教育を受けて英検3級程度の英語力を身に着けたむーさんでも
簡単に買えるありがたい世の中。
この高卒アッパッパーでさえクリック一つで取り寄せられるんだから
個人輸入代行業とかってもう生きていけないよね。

そんな中華サイトで手に入る100円台のメタルフードを組み合わせて
コンパクトかつつけっぱ可能、なによりレンズ面に触れる心配もない
メタルフードがケラレない画角を見に行く。

厳密には異なるだろうが、ここでは単純に目安として35mm換算の
焦点距離を基準におく。
検証に使用するのは58mmねじ切りアダプタを装着したSL1000
(注:コンデジなのでサイズは4:3となる)と以下のメタルフード。

・口径52mm(フィルタ側58mm)高さ2cm
・口径58mm(フィルタ側62mm)高さ2cm
・口径62mm(フィルタ側たぶん67mm)高さ3.5cm



ちなみにラインナップ的にはそれぞれ高さ4cmのものもあったりするが
そこまでいくといい加減長すぎてもそのままじゃカメラバッグに
収まらなくなり本末転倒なので最初につける52/58mmは2cm高にとどめ
コンパクトに収納するのがよろしいかと。
長いと取り出しづらいし防湿BOX(またの名をタッパー)にも入らないし。

以下焦点距離はExif情報から拾って35mm換算しているが、SL1000は
いろいろいい加減なので誤差はあるものと考えたほうがいい。
ちなみにレンズ内手振れ補正のためケラレ部分が左右する。
あとここで書いてるのは言わずもがなAPS-Cでの話。
フルサイズ買うようなやつはルサンチマンをお見舞いしてやる。


【デフォルト】

■焦点距離24mm(58mm→52mmステップダウンリング装着)

この状態でケラレなし。対角画角約84°。
ちなみにここで52mm径フィルタを装着するとギリケラレる。
なお当然ながらステップダウンリングのかわりに58mmフィルタを
つけてもケラれることはない。



【一段】

■52mm径フード装着

焦点距離24mmの状態。さっそくケラれる。


焦点距離およそ40mmで解消、対角画角約57°。
28-90mmや28-105mm、28-200mmなど、W端28mmレンズをAPS-Cで
使う分(約45mm相当)にはちょい余裕ありつつギリケラレなくて
ちょうどおいしい。


…上記だとフィルタ分の厚みが考慮されてねーじゃんということに
気づき改めて確認。
58mmフィルタ+52mmステップダウン+52mm径フードの状態。
ややわちゃわちゃしたせいか写真の焦点距離は数mm伸びて約43mm。
視認のためちょいケラレいれた状態。
3:2なら問題なさそうだがギリギリ。


なおAPS-C実写では28mm∞遠では問題なかったがマクロいっぱいで
わずかに四隅がケラレたのでギリアウト。
試しに52mmSDリング+52mmフィルタかました状態ではケラレ
なかったので52mmフードが攻めすぎなんだと思う。
もう10cm 20cm引きゃいいだけなんだけど。



■58mm径フード装着

こちらはちゃんとフードの手前に58mmフィルタ装着。
焦点距離約37mmの状態。対角画角約60°。
アダプタリングがないのと口径が少し大きい分ちょっと広め。
52mm径化しないなら28mmではまったく安牌なゾーン。



【二段】

■52mm+58mm径フード装着

焦点距離60mmちょいで解消。対角画角約39°。
35-135mmUSMのW端(56mm相当)で四隅ケラれたのでまあ計算通り。
この組み合わせはあまり使いでがなさそう。



■58mm+62mm径(3.5cm)フード装着

焦点距離約71mmの状態。対角画角約34°。
ちょい右上ケラれてるが3:2なら問題ないだろう。
55-250mmSTMではこっちのほうが最適解。
なので55-250mmSTMではあえてフィルタ52mm化はせずに
58mmフィルタとこの組み合わせでいっちゃっていいかも。
ただ望遠側で飛び物を追うことが多いなら52mmつけっぱで必要に応じて58+62の
二段を足す運用がよろしいかと。



【三段】

■52mm+58mm+62mm径(3.5cm)フード装着



焦点距離およそ118mmで解消。対角画角約21°。
右上にかすかにケラレが残っているが3:2だと問題ないだろう。
100-300mmのワイド側(160mm相当)は余裕でOKだがズームリングに
堪え性がないので少し振り回すとすぐ伸びるので注意。


2018年4月9日月曜日

EF35-135mm F4-5.6 USM

【総評】
1990年登場。
同時期の100-300mmUSMや後発の28-105mmUSMと異なりDLO非対応。
見捨てられた子なので人気はない。
W端が35mm換算56mmであるのも不人気の理由だが、数字上では単純に28-105mmの
焦点距離をテレ側に1.25〜1.3倍シフトしただけである。
ポジティブに捉えるなら24mmはじまりであらわすところのおよそ2倍から9倍までを
カバーする制限付きの便利ズームともいえるので対象があいまいになりがちな
広角なんか必要ないという自分みたいな偏屈なユーザーには投げ売りで入手できて
ただただありがたい話。

上述の通りDLO非対応だが数百ショット撮った感触では大きく問題になるような
色ズレやフリンジはなく自分の中では悪くない評価。
ただいかんせん重いので長時間のスナップにもって行きづらい。

なお中古相場ではせいぜい1000~2000円。
おなじく中古数千円で手に入るDLO非対応世代のキスデジやKDNと
組み合わせるとおもちゃがわりにワンセット出来上がり。
雨の日は持ち出しづらいな、でも持って行きたいなという場合に
捨て駒扱いではないがアタラサーしないでガンガン連れて行ける
強い味方となる。


■ワイド端

比較的素直ななりで開放から使える。
カリカリな画質ではないが決してボケちゃいない。
開放F4はわずかに周辺減光が見られるが気にならないレベル。
18-55mmキットレンズに慣れてると近距離の被写界深度が意外と
シビアに感じられるかもしれない。
絞ってもシャープネスは見た目変わらないので被写界深度で調整。
やや明暗がはっきりしすぎるきらいがあるのでお好みで暗部を
いくらか持ち上げてあげると自然な仕上がりになるかと。
明暗ならコントラストいじればいんじゃねっていうのも至極
まっとうな話だが、こいつの場合もともと線がおとなし目な
画なのでやはりシャドウをいじったほうがいいように見える。
まあ個人の好みだけど。

EF35-105mm F3.5-4.5でも触れたが、この35mmという焦点距離は
APS-Cにするとなかなか見た景色の印象に近い画角になっており
街中のスナップに最適に感じる。
風景の切り取りであっても、何を見てるのかさっぱりわからない
ような画でなく、必然的に、強制的になにかしらに合わせないと
フレームとして成り立たなくさせるためレンズに引っ張っていって
もらえる感じ。
この点で言えば明暗はそのまま使っても割といいかも。

撮り比べは手持ちISOオート。
bloggerでは横1600にリサイズされるので拡大はできないが
F4と5.6の左下にテントウムシがいるのがちゃんと識別できるかと。

35mm F4 1/640 ISO100


35mm F5.6 1/250 ISO100


35mm F8 1/125 ISO100



■テレ端

開放は非常にボケボケ。
ただ変なボケ方ではないため縮小前提とかL判ならまあOKなレベル。
絞れば絞るほど画質が際限なく上がっていく感じで、定石通り
二段絞ってやっと落ち着く感じ。
ただF8くらいでもちょいシャープかませば最低限いける感じというか
常用ISO範囲的にSSがついてこないのでそこんとこでまあまあ妥協する
使い方がいいはず。
VAやIPSならともかく、TFTならさほど見た目違いないレベルだろう。
またコンデジ(W端24mm)換算でちょうど9倍になるため、がんばれば
トリミング前提で小さい園庭程度のでの運動会くらいはそこそこいけるんじゃ
ないかしら。運動場だともう一息欲しいけど。
世代が世代なので、ピントが合ってない部分にコントラストが
大きいものが映り込むと盛大にフリンジになるかと思いきや、テレ端が
さほど無理してないのか思ったほどでてない感じ。
DLO非対応なのでこんくらいで踏みとどまって正解。

以下撮り比べ。

135mm F5.6 1/320 ISO100


135mm F8 1/200 ISO125


135mm F11 1/200 ISO250


別サンプル等倍切り出し。
まるで被写界深度比較のようにさえ見えるのであえて書くと
フォーカスポイントはお花めがけて中央一点。

135mm F5.6 1/250 ISO400


135mm F8 1/160 ISO400


135mm F11 1/80 ISO400


135mm F5.6 1/320 ISO100 シャドウめいっぱい下げ。あえてシャープ無効。



■AFについて

距離表示窓は以下の通り。数値は大体。
3mから端まで回転する角度はおよそ10度程度、1mから3mの間も
20度程度と、目の前の実用レンジおよび以降で広く動くものについて
いずれも時計の0時から1時までの間の角度におさまる。
M - 1m 1cm
1m - 3m 1cm
3m - ∞ 0.5cm


■フードについて

多分に漏れず絶版のためフードは58mmメタルつけっぱ。
さらに高さ35mm・φ62mmとの二段重ね(55-250mmSTMでやってる)で
やっとワイド短で四隅がちょいケラれる具合。
もしかすると高さ20mmのものならギリ二段重ねでもいけるかもしれないが
せっかくのコンパクトが台無しになるのでそんくらいでいいだろう。


その他バリエーションはこっちでまとめた。

ステップダウンリングと似非フジツボフードのすすめ
http://mu-san.blogspot.jp/2018/04/blog-post_28.html


■取り回し感

比べる相手が悪いがEF35-105mm F3.5-4.5に比べるとコンパクト。
使いにくい直進ズームでもなく近距離のAFもサクサク。
ただプラマウント・プラボディのキットレンズに比べると
コーヒーロング缶1本分重いのでお気軽感は劣る。