2018年4月28日土曜日

ステップダウンリングと似非フジツボフードのすすめ

■おすすめの理由3つ

・フードがわりに
中古で手に入るお手頃価格のキヤノンレンズではフィルター径が
58mmのものが主流。少し前のものだと52mmのものもあったり。
一方でAPS-Cサイズでは焦点距離が1.6倍になるためはっきり言って
センサー外の光は無駄である。
ならば、フジツボフードのよう、いっそ垂直に伸ばすレンズフードの代わりに
光の入り口を水平方向に隠してしまうという発想もアリちゃアリ。
ざっくり計算上は58÷1.6≒37mmまでレンズ前面を塞いでも問題
なさそうではあるしファインダーから(実際は見えないが)見える感じは
結果同じではある。
が、斜めから差す光を想定すればわかる通り、斜めからの光はフードで
完全にさえぎられるが中央に穴をあけただけの代物は通り道が小さくは
なるが直接光は入ってきてしまうので効果は限定的。
また、メタルフードの先端にステップダウンリングをかまして微調整するような
使い方でもいいかも。
まあ、そこまで限界追い求めることもないと思うが、フードの先になんか
見慣れないものがついてるとそれはそれでファッション性として
面白いかもしれない。
「フードは常時逆さに装着すべし」を信条としているとぅっとぅるー♪な
ファッション派の皆さんはぜひここで宗旨替えいただきたいが
ただまあ、わけもかわらずフードを先っちょにつけてるみなさんは
十中八九わけもわからず広角赤ハチマキをお持ちでらっしゃるので
縁のない話であると思うが。


・価格重視で
52mmフィルタはものが小さいため58mmフィルタに比べると
新品では価格が幾分安く、中古では低反射率や防汚コーティングを
謳う高級フィルタで状態のいい中古品も需要がないため投げ売り
だったりといいことづくめ。
(ニコンではこっちがデフォっぽくて羨ましい)
よほどの広角レンズでない限り(というか、広角だったらフィルタ径も
でかいことだろう)ケラれないのでデフォで52mm化しておくのもテ。
(EF-S標準ズームではさすがにおすすめしないが)
100円そこそこのステップダウンリングひとつでまず数百円は
おつりがくるので必需品といっていい。
お高い58mmフィルタ買う必要なんてどこにもない。

・絞りの発想
上記フードの考え方に近いが、こっちは絞り固定レンズのフロント側に
絞りを加えるような発想。
厳密なサイズは異なるが58mm径を52mm径に狭めることにより
光の通り道をレンズ外周側から約20%絞り、その分不要な光が
レンズ内に侵入するのを排除することができる。
レンズ加工技術・コーティング技術の進んだEF-Sレンズなら特段
気にしなくていいが、さほど出来のいいものでもない時代の
ものなら少しでも削れるだけ削っても決して損にはならないだろう。
誤解のなきよう書くが、絞りの手前側へはあぶれた光はやって
これない。
ここで防ぎたいのは主に前玉から絞り環の間でピンボールのように跳ね回る
光そしてレンズ外周部を通る光であって、絞りによって発生しうる回折光ではない。

もういっちょ49mmやそれ以下に絞ってもいいっちゃいいが、
逆にフィルタの調達が高アタリになりそうであるしフードの
口径もより狭まり深くしづらくなるためこれまた52mmで
とどめておいたほうがいいんじゃないかしら。

ただ、直径6mm削ったところでフィルタ枠がレンズの枠より小さく
なることはほとんどなく、あってもごく僅かなのだが。

注意点含め次にここらへんについて書く。


■ステップダウンリングと有効口径との兼ね合いについて

あまりに小さいステップダウンリングをかますと場合によって
不都合が発生する。
ここではEF100-300mm F4.5-5.6 USMを例に挙げる。

100-300mmなのでW端はもちろん100mmである。
APS-C換算では160mm相当となり、かなり画角は小さい。
どれほどかというと市販品ではたぶん存在しないサイズの、工作で
作ったφ20mmの模擬SDリング穴さえケラレなく写してしまう。

じゃあそのまま使えますかねっていうとそうは問屋が卸すわけでなく
100mmの時はAFは機能するが、どういうわけか300mmだとAFが
迷ってしまいまったくピントが来なくなってしまった。

ここで問題を解くカギは開放F値と有効口径。

・100mmのとき
開放絞りはF4。有効口径は割り算した25mm(直径)。
有効口径はレンズ前面(模擬SDリングと大体同じ位置)を通る
まっすぐな光の太さをあらわす。

このとき、模擬SDリングは直径20mmであり直径25mmの光を
さえぎるが大きく削ることはないので問題は発生しない。

・300mmのとき
開放絞りはF5.6。有効口径は約53.6mm(直径)。
どっこいレンズの先では上述の直径20mm穴しか開いておらず、本来
通るはずの光の量をまったく確保できていない。
オートフォーカスは絞り開放でなされるので、AFが機能するには
暗すぎるのである。
ファインダーを覗いた時点で暗いので明らかに明るさが足りない
ことがわかる。

よって、AFを正常に機能させるにもきちんと十分明るく写しとる
にも最低φ54mm以上の光の通り道を確保しなくてはならない。

要するに、W端でフルサイズ相当の画角は割り込んでもいいが
有効口径は割っちゃダメってこと。
この点で言えばフィルタ52mm化は計算上若干割っている。
が、APS-Cでは影響のない範囲であるのか、シャッタースピードに
変化はなかった。

一方画角だけで見れば、58÷1.6≒37mmステップダウンリング
(穴の大きさ35mmくらい)かますくらいなら問題なさそうだが
実際はAFは動作するも開放F5.6においてシャッタースピードが
1/160から1/60になってしまった。
撮り比べてみると実際は0.83EVの差だったので1.83のルートで
1.35×35mm=およそ47mmの穴がギリギリ最低ラインで必要と
計算上導かれた。
ねじ分で2mm程度なのでギリ攻めるのであれば49mmステップダウンと
49mmステップアップの組み合わせをかますとよいのだがしょせん
52mmにもーちょい削っただけなので52mm化するだけでじゅうぶん
いっぱいいっぱいとしていいだろう。
ただ実際、49mmステップダウンでもシャッタースピードに変化は
見られなかった。

ともあれ、有効口径は割らないのが賢明。
計算上の有効口径からギリギリまで削るにしても、10~15%減
くらいにとどめておいたほうがいいと思う。
実際はまず先に画角を割り込んでしまうはずなので300mmなんて
長焦点でない限り画角だけみてりゃいいって話だと思う。


■似非フジツボフード焦点距離目安(フード併用)

フードを長く伸ばしたほうが遮光効果はあるのはもちろんだけど
コンパクトさも大事よねという観点でみていく。

表は2cm高のフードを装着した時点でのフィルタ径。
焦点距離は35mm換算の物(1.60倍)。
要はどのサイズのステップダウンリングなら、フードによって
レンズから2cm伸びた地点でケラれないかって話。
言い方を変えると、ハナから口径の小さいレンズフードをかますのと
口径の大きいフードをかましてステップダウンリングですぼめるのは
効果はいっしょだよねって話。

レンズ側オスφ58mm径フードならメス側フィルタ径の大きさはφ62mm、
レンズ側オスφ52mm径フードならメス側フィルタ径はφ58mm。
※黄色セルは市販のステップダウンリングサイズ

フィルタやステップダウンリングの厚みで幾分焦点距離が
増すため数ミリ余裕を持つといい。
タイトめになるとねじの締め付け具合でギリギリケラレたり
解消したりする。
また、口径サイズ比は単純にサイズ比で求めたのであって
実際にはあるだろうねじ穴分の差異は考慮していない。

数字の根拠はいかのとおり。
・58mmフィルタ+58mmフードにおいて
45mm相当で問題なかったため、1mmマージンとってはじまりを44mmに設定
実際はもう少し余裕あると思うが安牌切っとく。



□装着例
58→52mmステップダウン+52mmフィルタ+52mm径フード+58→49mmSDリング



計算上ギリなため念のためここで使用したのは中華製でなく
日本製の薄枠52mmステップダウンリングとこれまた薄いハクバのULTINA。
実際はAFで動く範囲ならそこまでしなくても問題ないはず。


■似非フジツボフード焦点距離目安(フードなしのポン付け)

極限までコンパクトにしたいならフィルタにそのままステップダウン
リングをかましてやればいい。
有効口径はおいといてEF-S18mm/EF28mm標準ズームで58mmフィルタが
ケラレなくつけられるんなら画角を単純に計算していけばいい。
下表は35mm換算での焦点距離(1.60倍)と必要なフィルタ径。
実際はちょびっとくらい余裕あるはず。



表からするとφ37mmステップダウンリングはAPS-C35mm→56mm相当では余裕でクリアしており
実際28-90mmのW端(45mm相当)でも問題なし。
ただ上述の通り、遮光効果は限定的なのでこういう使い方は
通常のフードがわりとしては特段おすすめしないが、順光に
保険かけるような気持ちなら十分だろう。
煩わしいレンズキャップの脱着が嫌いな人にはおすすめ。

□装着例(EF35-135mm F4-5.6 USM)
58→52mmステップダウン+52mmフィルタ+52→37mmSDリング



【実写】

ここではW端のケラレ有無でなく不要光排除の効果有無を見に行く。
設定はいずれもISO400・F8・1/1000・テレ端。
計算上有効口径は135/8≒17mm(<37mm)

37mmリング非装着時


中央部切り出し


37mmリング装着時


中央部切り出し


ま、どっちも変わらないよね。絞ってるし。

2018年4月14日土曜日

メタルフードのすすめ

Amazonで売ってる謎中華製品ははたいてい中華サイトで
半値で買えるわけでして。
義務教育を受けて英検3級程度の英語力を身に着けたむーさんでも
簡単に買えるありがたい世の中。
この高卒アッパッパーでさえクリック一つで取り寄せられるんだから
個人輸入代行業とかってもう生きていけないよね。

そんな中華サイトで手に入る100円台のメタルフードを組み合わせて
コンパクトかつつけっぱ可能、なによりレンズ面に触れる心配もない
メタルフードがケラレない画角を見に行く。

厳密には異なるだろうが、ここでは単純に目安として35mm換算の
焦点距離を基準におく。
検証に使用するのは58mmねじ切りアダプタを装着したSL1000
(注:コンデジなのでサイズは4:3となる)と以下のメタルフード。

・口径52mm(フィルタ側58mm)高さ2cm
・口径58mm(フィルタ側62mm)高さ2cm
・口径62mm(フィルタ側たぶん67mm)高さ3.5cm



ちなみにラインナップ的にはそれぞれ高さ4cmのものもあったりするが
そこまでいくといい加減長すぎてもそのままじゃカメラバッグに
収まらなくなり本末転倒なので最初につける52/58mmは2cm高にとどめ
コンパクトに収納するのがよろしいかと。
長いと取り出しづらいし防湿BOX(またの名をタッパー)にも入らないし。

以下焦点距離はExif情報から拾って35mm換算しているが、SL1000は
いろいろいい加減なので誤差はあるものと考えたほうがいい。
ちなみにレンズ内手振れ補正のためケラレ部分が左右する。
あとここで書いてるのは言わずもがなAPS-Cでの話。
フルサイズ買うようなやつはルサンチマンをお見舞いしてやる。


【デフォルト】

■焦点距離24mm(58mm→52mmステップダウンリング装着)

この状態でケラレなし。対角画角約84°。
ちなみにここで52mm径フィルタを装着するとギリケラレる。
なお当然ながらステップダウンリングのかわりに58mmフィルタを
つけてもケラれることはない。



【一段】

■52mm径フード装着

焦点距離24mmの状態。さっそくケラれる。


焦点距離およそ40mmで解消、対角画角約57°。
28-90mmや28-105mm、28-200mmなど、W端28mmレンズをAPS-Cで
使う分(約45mm相当)にはちょい余裕ありつつギリケラレなくて
ちょうどおいしい。


…上記だとフィルタ分の厚みが考慮されてねーじゃんということに
気づき改めて確認。
58mmフィルタ+52mmステップダウン+52mm径フードの状態。
ややわちゃわちゃしたせいか写真の焦点距離は数mm伸びて約43mm。
視認のためちょいケラレいれた状態。
3:2なら問題なさそうだがギリギリ。


なおAPS-C実写では28mm∞遠では問題なかったがマクロいっぱいで
わずかに四隅がケラレたのでギリアウト。
試しに52mmSDリング+52mmフィルタかました状態ではケラレ
なかったので52mmフードが攻めすぎなんだと思う。
もう10cm 20cm引きゃいいだけなんだけど。



■58mm径フード装着

こちらはちゃんとフードの手前に58mmフィルタ装着。
焦点距離約37mmの状態。対角画角約60°。
アダプタリングがないのと口径が少し大きい分ちょっと広め。
52mm径化しないなら28mmではまったく安牌なゾーン。



【二段】

■52mm+58mm径フード装着

焦点距離60mmちょいで解消。対角画角約39°。
35-135mmUSMのW端(56mm相当)で四隅ケラれたのでまあ計算通り。
この組み合わせはあまり使いでがなさそう。



■58mm+62mm径(3.5cm)フード装着

焦点距離約71mmの状態。対角画角約34°。
ちょい右上ケラれてるが3:2なら問題ないだろう。
55-250mmSTMではこっちのほうが最適解。
なので55-250mmSTMではあえてフィルタ52mm化はせずに
58mmフィルタとこの組み合わせでいっちゃっていいかも。
ただ望遠側で飛び物を追うことが多いなら52mmつけっぱで必要に応じて58+62の
二段を足す運用がよろしいかと。



【三段】

■52mm+58mm+62mm径(3.5cm)フード装着



焦点距離およそ118mmで解消。対角画角約21°。
右上にかすかにケラレが残っているが3:2だと問題ないだろう。
100-300mmのワイド側(160mm相当)は余裕でOKだがズームリングに
堪え性がないので少し振り回すとすぐ伸びるので注意。


2018年4月9日月曜日

EF35-135mm F4-5.6 USM

【総評】
1990年登場。
同時期の100-300mmUSMや後発の28-105mmUSMと異なりDLO非対応。
見捨てられた子なので人気はない。
W端が35mm換算56mmであるのも不人気の理由だが、数字上では単純に28-105mmの
焦点距離をテレ側に1.25〜1.3倍シフトしただけである。
ポジティブに捉えるなら24mmはじまりであらわすところのおよそ2倍から9倍までを
カバーする制限付きの便利ズームともいえるので対象があいまいになりがちな
広角なんか必要ないという自分みたいな偏屈なユーザーには投げ売りで入手できて
ただただありがたい話。

上述の通りDLO非対応だが数百ショット撮った感触では大きく問題になるような
色ズレやフリンジはなく自分の中では悪くない評価。
ただいかんせん重いので長時間のスナップにもって行きづらい。

なお中古相場ではせいぜい1000~2000円。
おなじく中古数千円で手に入るDLO非対応世代のキスデジやKDNと
組み合わせるとおもちゃがわりにワンセット出来上がり。
雨の日は持ち出しづらいな、でも持って行きたいなという場合に
捨て駒扱いではないがアタラサーしないでガンガン連れて行ける
強い味方となる。


■ワイド端

比較的素直ななりで開放から使える。
カリカリな画質ではないが決してボケちゃいない。
開放F4はわずかに周辺減光が見られるが気にならないレベル。
18-55mmキットレンズに慣れてると近距離の被写界深度が意外と
シビアに感じられるかもしれない。
絞ってもシャープネスは見た目変わらないので被写界深度で調整。
やや明暗がはっきりしすぎるきらいがあるのでお好みで暗部を
いくらか持ち上げてあげると自然な仕上がりになるかと。
明暗ならコントラストいじればいんじゃねっていうのも至極
まっとうな話だが、こいつの場合もともと線がおとなし目な
画なのでやはりシャドウをいじったほうがいいように見える。
まあ個人の好みだけど。

EF35-105mm F3.5-4.5でも触れたが、この35mmという焦点距離は
APS-Cにするとなかなか見た景色の印象に近い画角になっており
街中のスナップに最適に感じる。
風景の切り取りであっても、何を見てるのかさっぱりわからない
ような画でなく、必然的に、強制的になにかしらに合わせないと
フレームとして成り立たなくさせるためレンズに引っ張っていって
もらえる感じ。
この点で言えば明暗はそのまま使っても割といいかも。

撮り比べは手持ちISOオート。
bloggerでは横1600にリサイズされるので拡大はできないが
F4と5.6の左下にテントウムシがいるのがちゃんと識別できるかと。

35mm F4 1/640 ISO100


35mm F5.6 1/250 ISO100


35mm F8 1/125 ISO100



■テレ端

開放は非常にボケボケ。
ただ変なボケ方ではないため縮小前提とかL判ならまあOKなレベル。
絞れば絞るほど画質が際限なく上がっていく感じで、定石通り
二段絞ってやっと落ち着く感じ。
ただF8くらいでもちょいシャープかませば最低限いける感じというか
常用ISO範囲的にSSがついてこないのでそこんとこでまあまあ妥協する
使い方がいいはず。
VAやIPSならともかく、TFTならさほど見た目違いないレベルだろう。
またコンデジ(W端24mm)換算でちょうど9倍になるため、がんばれば
トリミング前提で小さい園庭程度のでの運動会くらいはそこそこいけるんじゃ
ないかしら。運動場だともう一息欲しいけど。
世代が世代なので、ピントが合ってない部分にコントラストが
大きいものが映り込むと盛大にフリンジになるかと思いきや、テレ端が
さほど無理してないのか思ったほどでてない感じ。
DLO非対応なのでこんくらいで踏みとどまって正解。

以下撮り比べ。

135mm F5.6 1/320 ISO100


135mm F8 1/200 ISO125


135mm F11 1/200 ISO250


別サンプル等倍切り出し。
まるで被写界深度比較のようにさえ見えるのであえて書くと
フォーカスポイントはお花めがけて中央一点。

135mm F5.6 1/250 ISO400


135mm F8 1/160 ISO400


135mm F11 1/80 ISO400


135mm F5.6 1/320 ISO100 シャドウめいっぱい下げ。あえてシャープ無効。



■AFについて

距離表示窓は以下の通り。数値は大体。
3mから端まで回転する角度はおよそ10度程度、1mから3mの間も
20度程度と、目の前の実用レンジおよび以降で広く動くものについて
いずれも時計の0時から1時までの間の角度におさまる。
M - 1m 1cm
1m - 3m 1cm
3m - ∞ 0.5cm


■フードについて

多分に漏れず絶版のためフードは58mmメタルつけっぱ。
さらに高さ35mm・φ62mmとの二段重ね(55-250mmSTMでやってる)で
やっとワイド短で四隅がちょいケラれる具合。
もしかすると高さ20mmのものならギリ二段重ねでもいけるかもしれないが
せっかくのコンパクトが台無しになるのでそんくらいでいいだろう。


その他バリエーションはこっちでまとめた。

ステップダウンリングと似非フジツボフードのすすめ
http://mu-san.blogspot.jp/2018/04/blog-post_28.html


■取り回し感

比べる相手が悪いがEF35-105mm F3.5-4.5に比べるとコンパクト。
使いにくい直進ズームでもなく近距離のAFもサクサク。
ただプラマウント・プラボディのキットレンズに比べると
コーヒーロング缶1本分重いのでお気軽感は劣る。

2018年4月6日金曜日

D.L.オプティマイザは有効なのか? EF100-300mm F4.5-5.6 USM

清水の舞台から飛び降りたこともないしどこにあるのかも
よくわからんが思い切って中古15K円で手に入れた
EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM

こいつひとつでミサゴを追う身として

あと一歩、もうあと一歩でいい、寄りたい!

と日々悶々するわけで。
また、どうもこの55-250mmSTMの癖なのか、ほぼピン位置なのに
いちいち盛大に手前までデフォーカスする挙動が気に入らない。
モーター自体は速くなくともそこそこ悪くないだけに台無し。

しかし300mmかつ速いAFを求めるとなると中古でも諭吉さんの
枚数が3倍以上になるEF70-300mm F4-5.6 IS II USMくらいしか
ない一方で、もっと上を見ると桁が変わってしまうという有様。

そんな状況に苛まれつつも

もっと焦点距離を!
もっとAF速度を!
もっと光を!(開放F値の意味で)…は、諦めよう

という渇愛がMAXまで来た昨今、しかし先立つものはありませぬ。
先立つもののない不幸について許してもらう相手もいない以上
もはややるかたないので少ないというか唯一の選択肢である

EF100-300mm F4.5-5.6 USM

に救いを求めることになる。
が、なにぶん昭和天皇と日経平均株価が崩御した翌年という
ジャパニーズビジネスマンが仕事に遊びに24時間戦っていた
レディオと日本経済が壊れかけな時代の代物。

250mmと300mmの違いってあるかいな
DLO対応とはいえデジタルな21世紀タタカエマスカ?
言うほどリングUSMってAF速度あるんかねほんとに
ISないけど手ブレもSSもどこまで持つのか

などなどの不安材料を抱えつつポチる。
実戦投入の前にポテンシャルを探るべく55-250mmSTMといかほど
張り合うかを見に行く。


■250mmと300mmの違い

3年前に中古7500円のKDNレンズキットを手にした時点で僕は
キヤノン畑でつかまえられてしまったんだぜ、なあフィービー。
なので他所の事情はよく知らんが噂ではニコンの望遠キットレンズは
300mmあるらしい。
モーターがなんぼのもんか知らんが少なくとも焦点距離だけで
いえばキヤノンでなきゃ苦しまずに済んだのかもしれんが
まあそんなのいったん置いとくとしてだな。

250mmと300mmなんてほとんど差はないですよー

なんて、自称カメラ初心者の女子ですぅー子持ちママですぅー
みてえなアイコンを見つけてはワタクシ優しいおじさまですって
自称ハイアマが知った顔して(ネット越しだから見えてないって?
そんなの知るか)価格コムの掲示板だのなんだのでノーガキ
垂れるもんですからこちとら

ハイソーデスカ

って口が裂けたら言えない。痛いもの。声も出まい。
だってだよ、250mmと300mmって1.2倍なわけだ。
1.2倍ってったら24インチディスプレイと比較したらおよそ
29インチ相当との差があるわけだ。
それを差がないですよwwとかのたまうお前んらは
24インチでFPSもRAW現像もやっとりゃええんじゃとまあ
面積比で二乗の44%アップはそりゃ見てわかるだろう
という見立てを立てる。

んでその結果。
対象はおよそ300m先の屋根。

EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM テレ端250mm F5.6 1/320 ISO125


EF100-300mm F4.5-5.6 USM テレ端300mm F5.6 1/320 ISO200


ほらーやっぱあるじゃんー・・・そこそこ。
レンズ交換してる間にお日様出てきて違う画になったけど
大きさにゃ関係ないからいいや。


■画質の差を埋められるのか?

まあぱっと見違いがあるってことはわかった。
が、それと同時に

300mmの開放って悲惨。
250mmの開放って優秀。気になるのは周辺減光くらい。

とまあ他所の女抱いて改めて女房の良さがわかるというか
女とワインは古い方がいいというか。
どっこいここで褒められたもんなのは新しい畳のほうで1990年物の
ワインはどう飲み下してやればいいのか。

いやいや美味いワインづくりはまず搾るところからはじまると
いうから、とりあえずは絞ろう。キヤノン 一段絞り。

以下DPPオプションはデジタルレンズオプティマイザ適用量50・色にじみ
補正以外はデフォルトママ。
ISOを揃えるとかミラーアップするとか、実戦と異なるコンディションでの
比較には興味ないので手持ちISOオート。

F5.6 1/320 ISO200(上のものといっしょ)


F8 1/320 ISO400


F11 1/320 ISO800


とまあ、絞れば順当にシャープさは上がるが等倍では
今一つ色にじみがスッキリせずやや眠たい。
が、APS-Cで等倍とかいうのもナンセンスに思うので
そこんとこは気にしないでおく。

大きさが倍以上違うフルサイズの真似して貧乏人が
等倍がートウバイガーってのたまうこと自体が恥ずかしい。
同時期の5DmkIIなんかフルサイズで21Mピクセルなのに
その4割程度しか受光面積がないKissX3なんて15Mもある。
いやいやそこは無理って。
等倍どころか縮小してやっと張り合えるってもんだ。

今一度絞りの違いを見に行くと、F8に比べるとF11のほうが
確かにシャープさはより向上している。
が、一段絞った時点での画質向上度合いに比べるとさほどと
いったところ。
ただ被写界深度の影響もあるだろうからあらためて純粋に
中央部分を見に行く。
ここでは不本意ながらもあくまで比較手法として

等倍 ←wwwww

切り出しで確認しにいく。
せっかくだから俺は比較対象に250mmをSR100x100
同サイズに拡大したものを貼り付けるぜ。

300mm F5.6


300mm F8


300mm F11


250mm F5.6 元画像x1.2倍


光量もありISOも低く抑えられてなおかつ手振れ補正までついて
圧倒的に優位な250mmでは丸い軒瓦の模様が全く見えないが
300mmではISO400ながら一段だけ絞ったF8の時点でちゃんと
凹凸のニュアンスが出ている。
F11は高感度ノイズが邪魔するがさらにディテールが増している。
あれぼろ負けかと思いきや案外健闘。
いやいや250mmだって絞れば画質が上がって追いつくかもしれん。
念のため見ておく。

250mm F8 ISO200 元画像x1.2倍


250mm F11 ISO400 元画像x1.2倍


はい、追いつけません。追い越せません。
一段絞ったあたりでやや向上している感じがある一方、むしろ
F11は絞りすぎのようで、却って悪くなっている。
この結果はこちらさん↓の結果に一致する。
試しちゃいないがおそらくF7.1くらいがピークなんだろう。

レンズの絞りと解像力について
http://hajime3776.fc2web.com/lens-resolution.html

Pオートで基本開放か一段絞る運用となるユーザーを想定しているのかも。
個人的には開放で満足だけど。

ともあれ55-250mmSTMが逆立ちしても手が届かないところまで300mmは
伸びるということはこれでハッキリした。
見たまんまを言えば、F5.6であれば250mmも300mmも違いがさほど無い。
違う言い方であらわすなら、開放でしか撮らないうちは250mmと同等で
100-300mmはF8以降で撮ってはじめて本領発揮といえる。
ただこれはあくまでディテールの表現に限った話だが。

- 5/8追記 -

他レンズとの比較・絞りごとの画質の違いは下記でまとめた

EF55-200mm F4.5-5.6 II USM
http://mu-san.blogspot.jp/2018/05/ef55-200mm-f45-56-ii-usm.html

-追記ここまで-


■安レンズ界で定評のAF番長とはなんぼのものか

55-250mm STMに比べるとモーターの速度は目を見張るほど早い
という感じはしない。
前述のとおりSTMは決してチョッパヤではないが、7000円で購入して
から1週間後2000円で手放したEF-S55-250mm F4-5.6 IS IIほどの
ノロノロとは雲泥の差なのである。
ただし前述のいったん手前までデフォーカスする迷いが遥かに少ない
という点は優位。

距離表示窓は以下の通り。数値は大体。
飛びものが30mより近くに来ることはまれなのでだいぶ回転角度は小さい。
カモメやアジサシなど比較的大きめで人懐っこいやつは7m~30mのレンジで
捉えられるためすっぽ抜けない限りは比較的歩留まりは高いはず。
M - 3m 1.5cm
3m - 7m 1cm
7m - 30m 1cm
30m - ∞ 0.5cm


■弱点はフリンジ・収差

標準ズームのように小さい開放絞り値と非球面レンズの組み合わせという
概念がないものですからまー300mm開放の収差は大きい。

ピントの合わない部分は当然ながら、合焦範囲であるはずなのに縁取りは
マゼンタにグリーンに彩られるというスペシャルエフェクト機能搭載。
もうこれ一本で「エモい」写真だって撮れちゃうね。素敵だね。

ただエモい写真にゃ興味がないので21世紀の技術で補正かけることにする。
サンプルは300mm開放から切り出し。

DLOオフ


DLO適用量50


+DLO適用量100


関係ないけどなんで適用を「適応」って言う人あんないっぱいいるんかね。
環境に適応するのはその主体であって、パッチ適応ってじゃあそのパッチが
自律的に動いて自動でいろんなOS環境に適応していくんかい、お前は自分で
自分をリコンパイルできるんかいすげーな、っていいやこの話は。

んでまーせいぜい後付けの補正処理なもんですから劇的な効果はなくとも
ないよりマシといったとこ。
実際きちんと絞って、仕上げにかけるような用途なので致し方あるまい。
だけどもフリンジのような出方はともかく、わかりやすい収差はきれーに
処理できるのでDLO対応というのはなかなか強力。
基本的にシャープネスの改善というよりは収差の改善を図るもののようで
解像感についてはあくまで副次的な効果と考えたほうがよさそう。

DLOオフ


DLO適用量50


ちなみにこの点はさすが21世紀の技術で55-250mm STMに一日の長というか
7600日の長があるんでして逆立ちしても勝てぬ。
以下は逆光下での電柱というフリンジのお手本。いずれも補正なし。
適当に撮ったんでピント位置違うけど気にしない。

EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM 250mm開放 DPPデフォルト(DLOなし)


EF100-300mm F4.5-5.6 USM 300mm開放 DPPデフォルト(DLOなし)



■シャッタースピード、絞り、ISO。どれを取るか、どれを捨てるか。

この暗いレンズを煮て焼いて食うには
・どれだけ絞れるか
・どれだけシャッタースピードを稼げるか
これらとの戦いである。
最優先で捨てにかかる候補はもうISOしか残ってないのである。
ここでこのレンズにおける現実的なISO常用範囲で見比べてみる。
別途検証でベストはF10であることがわかっているので、
それぞれ最低ライン・最高ラインのF8・F10で見比べる。
風が強い中手持ちで検証。

ISO400 F8 1/800


ISO400 F10 1/500


ISO800 F8 1/1600


ISO800 F10 1/1000


着目点は右上の網。
結果から言えば
・ISO400では3ケタSSとなり単純に足りてない
・ISO800のF8ではSSは足りてるが解像度がもう一歩。でもニュアンスは十分
・ISO800では画質低下よりも絞り・SSが稼げるメリットのほうが大きい
なのでISO400なんかもう要らんちゅう話になる。
高感度耐性が高いセンサーならもう一段上げても問題ないだろう。


■実際の運用方針

基本F8の絞り優先オートにしつつISO800決め打ち。
天気やお日様の高さと相談してISO400に切り替え。
ISO800でSSが1/1000を大きく割るようならそこでこのレンズの運用は
終了してISつきに切り替えるか、いっそ引き続きF5.6まで下げて
ガマンの子に徹するかチョイス。

300mmはより被写体が大きく映るので、シャッタースピードについては
手振れよりもむしろ被写体ブレに気を付ける必要がある。
なのでシャッタースピードは最低でも人の動作が止まる1/160あたりに
なるが、フレームいっぱいに入る場合はブレるので倍の1/320が目処。
一定の歩く速さ程度での目安は
被写体が全身入る…1/160
上半身はいる(1/2ボディ)…1/320~1/400くらい
肩から上のアップ(1/4ボディ)…1/480もしくはそれ以上
こんな感じ。

また、300mmは250mmに比べてほぼちょうど1段被写界深度が浅いので
素早いものを追いかける場合やピント精度の予防線を張る意味では
画質もさることながらやはり最低でもF8以上の運用が必要と感じられる。
F8でさえ半身まで寄る場合だとすぐ隣の人がすでにピンボケになるほど
被写界深度がかなりシビアになるためあえて寄りすぎず少し引いた上で
後でトリミングするという戦略もありかと。
以上のことからも開放の写りがどうのこうのはどうでもいい話。

ま、中古7500円のX3と中古3000円のレンズで日没1時間前に
こんだけ撮れりゃ文句ないわ。
要するに、ナイチャーが思ってるほどイクマあきらは沖縄では
全然有名じゃないよってこった。

300mm F5.6 1/400 ISO1000 DPP(DLO50/色にじみ低減ほかデフォルト)



■レンズフードについて
メタルフードは三段重ねでもケラれず、
58mm-52mmアダプタ→52mm→58mm→62mm
が可能。
一個だけなら自重で伸びることはないが、三段となれば遠心力で
ビヨーンするんで必要な時にだけ二段足すといいはず。
ただあまり長くても不格好なのだが見栄でマフラーカッター買って
つけるようなコッドピースドレスアップと思えばいいだろう。
ケラれてるわけでもないんだし。

ただしそこそこ目立つので俺カメラかじってるんだけどさみたいな野郎と
依存性パーソナリティの強いそのツレにすれ違い様
「オレ今度広角レンズ買うんだよねーやっぱカメラは広角だよなー」
「わーたっくんカッコイー」
などと何に対象が行ってるか構図もなにも定まってないパンフォーカスの
ような会話を聞かされる羽目になるので注意。
何のマウントを取りたいのかわからんがこちとらEFマウントにしか
興味ないのでほっとく。

広角好きってのはきっと遠近法で自分を大きく見せるのが好きなんだろう。
大きいクルマに乗ってる男はちんちんが小さいってミセス・ダウトファイアも
言っていることからほぼ違いない。



■ちなみに広角側

望遠側もう50mm!というのが購入の動機なのでW端にゃ深く触れぬが
定評通りいい写りであることは確か。
順光下で撮ったものはシャープでフリンジも見当たらず開放から問題ない
仕上がりで30年前のレンズながらバカにできない。

100mm 1/200 F7.1 ISO100 DPPデフォルト(DLOなし)


100mm 1/3200 F4.5 ISO100 DPPデフォルト(DLOなし)



■(余談)100mmに最短撮影距離も

なにもあったもんじゃないと思うけど一応メモっとく。
最短撮影距離は55-250mmSTMのおよそ倍で1.5m。
実際の取り回しもおおむねそのまんまで寄れる感は乏しく、
最大撮影倍率は0.2と55-250mmSTMの0.29に見劣りする。
ただ寄ったところで毛穴撮るわけじゃないので人はまず撮れないし、
近づいてくるネコも1.5m先時点ではいシャッター切れませんと
まあもどかしさはなくもない。
自分は花屋さんじゃないのでマクロにゃ興味ないので気にならんが。
55-250mmSTMなら数歩引けば目の前の人を撮ることだって一応
ギリいける画角にゃなるんで望遠が必要なイベントでも
一本でいけるがこいつは難儀する。

300mm F11 1/320 ISO400 DPP(DLO50適用/色にじみ低減適用なし)
-0.17EV/コントラスト-2/シャドウ1/色の濃さ1/シャープネス5



■(おまけ)試し撮り

DLOかませばまあまあいけるのかな。
DPP4が旧い型でも使えることを書き終えてようやく知る。

空飛んでたコンチネンタルの偽物みたいな配色ロゴの飛行機。
N464MCとある。どうやら嘉手納に来る様子。
300mm F11 1/400 ISO250 軽く補正&2700x1800トリミング