2014年12月18日木曜日

EF28-90mm F4-5.6 III

画質比較はEF 35-105mm F3.5-4.5で。

キヤノンカメラミュージアム | レンズ館 - EFレンズ
http://web.canon.jp/Camera-muse/lens/ef/data/standard_zoom/ef_28~90_4~56iii.html

EF28-90mm F4-5.6 III 機種仕様
http://cweb.canon.jp/e-support/faq/answer/eosd/65702-1.html

■総評
EOS Kiss Digital~KDXユーザーのキットレンズからの
買い替えに最適。
個人的にはキングオブお散歩&旅行向き安価レンズ。
いろいろ買った中で一番好きな一本。


【なにかに似ている】
EOS Kissシリーズがデジタルへバトンタッチする時期の
フィルムカメラ用キットレンズ。
初代は2000年に登場の3代目。USM搭載。
EOS Kiss Digital~KDXのキットレンズに採用された
EF-S 18-55mm USM IIと外観・大きさがよく似ている。
プラマウントまで一緒。フードも一緒。
つくりだす画や色も似た傾向で、色はかなり落ち着いていて
全体的にシャープ。
まだ少し高い夕日下でも問題なく撮れてしまうあたり
すでに基本設計はデジタル用途を見越していることがわかる。
ただ惜しいのはDLO非対応という点だけ。
実力的に特に要らないので問題にはならないけど。

※追記:Ver4で対応。やったね。

一方中古でも1万越えは当たり前のEF-S17-85mm F4-5.6 IS USMとは
あまり似ていない外観。
お値段も1/2~1/3と日のあたらない子。
近いモデルに28-80mm USMシリーズがあるがそっちには非球面
レンズの採用はない(IV~V)のでこっちが(レンズ)一枚上手。
非球面レンズの効能は開放側にあらわれるので、自分らのような

× 絞ればいい感じ
〇 そこそこでいいから開放で

というニーズにマッチ。
標準ズームにおいて中古でもDLO対応のせいかお値段の張る
28-105mm USM(F3.5-4.5のほう)は非球面レンズを積んでない。
たしかにF値低いのはおいしいが個人的にはやはり心もとない。
欲を言えばソフトウェアでトリックかまさず光学的に処理して
そこそこ使えるのが理想なのでここに一枚収差を抑えてくれる
やつがいるというのは安心感がある。

ちなみにこのレンズもたぶんにもれず前玉が回転するため
花形フードの装着ができない。
そのためキヤノン純正には「EW-60C II」なる花形フードの設定はない。
しかし互換を謳う社外品はきっちり花形をラインナップ。
たぶんEW-63Cをお手本にしているのだろう。
 

形状を見ると四隅が浅め。
というかむしろ純正品より切り込んだように見える。
そもそも四隅に切れ込みが入る花形は、フードをより深い設計にして
さらに浅い角度から差す光の害を防ぎつつ、その際に発生しうる
ケラレを防止するために有る。

ひらたく言えば、理論的にはこのもっとも浅い部分はキヤノン純正
EW-60Cの枠の大きさ相当はあって当然なのに、それより枠が細い。
イコール、斜めから差す光に対して純正よりも弱い。
また、たてよこは大して深くも無いので、そこから差す光に対しても
純正形状した本当の意味での「互換」製品と大してかわらない。

要するに、花形のくせに円形より性能が低いという意味の分からん
製品でしかない。
まあ、フードが回転する時点でそんなの全部すっとばす話なんだけど。
で、おすすめはというとこいつ。

そうです、EFないしEF-S望遠レンズ用のフードでございます。
同じ58mm径でぴったりはまる互換形状なのだけどそれだけじゃなく
広角端でもまったくもってケラレがないという素晴らしさ。
(APS-C装着時。お高いフルサイズでの話は知らない)

一見レンズと同じくらいの大きさでかなり深い。逆に
「じゃーEW-60Cってなんなのよ、詐欺か」
と思えるくらい。
言い方を変えるなら

EW-60Cには、フードとしての効果はほぼない

とむーさんは断言します。
見た目不格好かもしれないけど、むーさんはET-60を推奨します。
むしろAPS-CでまんまEW-60Cつけてるほうがむーさんはガラスの仮面的に
「プークスクス」と心の中で笑ってやります。

ちなみに屋内でフードを逆さにして使ってない人多いけど、
居酒屋のつるされた裸電球などは特に影響がおおきい、
見切れる位置に光源が入る屋内こそフレアやゴーストに
気を使ってもいいと思う。あと手持ち花火とか。
もちろん一般家庭のアクリルカバーで覆われたシーリングライト
なんてのは視界に入らないからどうでもいいけど、ホテルの
ロビーなど、シャンデリアやらなんやら、反射する水面やら
あちこちに光源があるような場合、強い光源がウロウロする
結婚披露宴などはぜひ一考を。


「いや、ちょっとでかすぎだよ」という方はこちら。
 

コンパクトかつメタルなフード。ただしお値段は倍以上。
見た目は引き締まった感じでナイス。
フードつけっぱなしにしておけばキャップかぶせずそのまま
カメラバッグから出したりしまえたりもできて便利。
もちろんケラレない。

こいつは使いでがあって、58mm径望遠レンズにも同じようにつけっぱが可能。
で、これに62mm用のねじこみメタルフードをあわせるとこれまたW端でも
ケラレなしのレンズフード二弾重ねが可能。
とにかくキャップの脱着が煩わしい人にはぴったり。

 

装着されているほうがケンコーの58mm

Andoer62mmフードを追加したの図



【操作性・機能性】
200gしないので非常に軽い。
また、18-55USMと数ミリしか長さも違わないので
下手したら近くで見てもキットレンズまんま
付けてるようにしか見えない。
まあ、同じようなものをつけてるだけという点で言えば
ぜんぜん間違っちゃいないのだけど。
しかしそこにあるのは90mmまでいけるプチ飛び道具。


【画質・発色】
お手持ちのキットレンズまんま受け継いでると考えてOK。
開放でもそこそこシャープなので朝夕も引っ張れる。
逆に言えば絞っても画質がめきめき上るわけでもないので
つまらないといってしまうのはぜいたくな悩みか。
近い焦点距離のフィルム用レンズは総じて昭和の時代に
設計されたものが多いけど、これは21世紀に現役の技術で
できているので越えられない壁がある。
おじさんがソートーな二眼レフマニアなのを横で見ている
身としては80年代後半のものをオールドレンズと呼ぶのは
まだまだじゃねと思ったりもするのだけど。


【明るさ】
ファインダーを覗いた時点で暗さを感じる。
さすがにW端F4はちょっと残念。ただ悲観するほどでもない。
テレ端は35-105mm F3.5-4.5から1段絞った値であるも
シャープな画が欲しい場合35-105では1段絞って使う点で言えば
実質的な差は気になるほどでもない。


【ズーム】
W端28mm、35mm換算で45mm。
最短撮影距離も18-55とさほど変わらずおよそ40cm。
このW端焦点距離と撮影距離はあまりに絶妙で
屋内での撮影にギリで問題ないレベル。
これより長いと一歩引いて撮るなど手間や工夫が
かかるけど、いい感じで踏みとどまっている。
また、30cmものさしからさらにこぶし1個分引くだけで
接写可能なのでキットレンズを扱う気分ままでいられる。

ですので、これ1本あれば観光地も宿泊先の料理も
なにもかも撮れてしまうという代物。
(個人的にゴハン撮るの好みじゃないけど、世の中では
当たり前らしいし各々の勝手なので文句は言わない)

とにかく。
集合写真でも撮らない限り、1万円出してEF-S 17-85mm
F4-5.6 IS USMを買うことはないと個人的には思う。
お金持ちはそっち買えばいいし、コスパ至上主義の
中古好きはこっち買うとハッピーになれると思う。
ただ中古の玉数があまり多くないのが難点か。


【AF速度】
USM搭載、という時点でもう何も言うことはない。
1点付け加えるなら、個体差かもしれないけどAFは
中央1点・ワンショットを推奨。
全体から自動で探すとけっこう迷うイメージ。
明るい屋外なら大丈夫かもしれないけど、屋内では
おやおやと思う場面がしばしば。

2014年12月17日水曜日

EF35-105mm F3.5-4.5

キヤノンカメラミュージアム | レンズ館 - EFレンズ
http://web.canon.jp/Camera-muse/lens/ef/data/standard_zoom/ef_35~105_35~45.html

■総評
見たまんまの色を出すので曇りの日の散歩用に向いてる。
最短撮影距離も1m近い上、近距離のAFは遅いので屋外向き。
手振れ補正もないので手振れ補正至上主義にはまず向かない。


【操作性・機能性】
近い焦点距離のEF 28-90mm F4-5.6 IIIと比較して倍重い。
軽いレンズに慣れてると重さは否めない。
とにかく軽く、という趣向でなければまあOK。
重いけど。


【解像感】
1000円で購入した、中玉に気泡たっぷりのジャンクだった
せいもあってかコントラストは甘めの印象。
しかしコントラストは甘いが実は案外シャープ。
DPPでシャープ0だとかなり甘々。
しかし設定値を上げるにつれ素直にシャープになる。
このあたりデジタル世代のレンズでは3を越えたあたりから
ジャギジャギになって見れたもんじゃなくなる場合もあるけども
このレンズではこれ1本でソフトな画からシャープな画まで
ひととおりそつなくまかなえるあたり美味しい。
が、人であれ風景であれ、いちいち最適なシャープ値を
目で見て一枚一枚手動でいじらないと全部が全部何が主題なのか
まったくわからんピンボケ一歩手前の画でしかなくなるのが難点。
いっそJPEGで撮るほうが楽かも。
おおむね無難な設定は5~7。
JPEGで保存する分にはたぶん普通に見れるレベルかも。

DPPでシャープネスをいじる場合、木々の葉っぱの様な複雑なものは
ジャギこそ出ないも上げすぎるとかえって不自然に。
一方、人物や建物など単純な被写体は10まであげてもしっくり
くることも。

ちなみにこのレンズだとRAWをPicasaで見るとけっこうまっちろけ&
時にWBがバカになるので面倒でもDPPで現像したほうがいい画になる。
…とまあ、いろいろクセあってどうも気軽に使えないがハマると
おもしろい一枚が撮れるかも。


EOS KDN ISO200 105mm(171mm) F13 1/250
DPP:スタンダード(シャープ7)

【明るさ】
EF 28-90mm F4-5.6 IIIと比較して、テレ端では見違えるほど変わる
という印象はない。全体的にほんのり明るい程度。
逆光には弱い。強い光はどこから差そうが邪魔でしかない。
フードはかなり無力。実際は効いてるかもしれんが正直あってよかったと
実感するような1枚を撮れたためしは今のところ無い。
なので曇りの日~晴れた午後の順光推奨。
ただしF5.6と4.5の合焦範囲の違いは見た目でわかるほどで、
ボケが大胆に出せるのでなかなかポートレート向き。
ある程度使いこなせてないうちは風景には使いづらい印象。

普段は何も考えずSS1/160にセットしておいて、手ブレを
気にせずパカパカ撮る感じだと割としっくりくる。
結果絞れてれば御の字くらいの期待度。
たいていの動作による被写体ブレがなくなるあたりなので、
人を撮るにはちょうどいいライン。
日が高いうちは絞りもかねて安牌目に1/200でもいいかもしれない。

屋内蛍光灯下ではワイド端F3.5、SS1/80くらいならフラッシュなしでも
撮影可能。ただしISO1600は要る。
動かない被写体ならもう少しSS攻めてもいいかなとは思うけど、
子供やペットはこのあたりが限界。
KDNではAFも迷うのでAFがおりこうさんで高ISOでもノイズが出にくい
モデルだと案外難なく使えるかも。
EOS KissだとDIGIC4世代以降のX3あたりからは問題ないはず。


【ズーム】
EF 28-90mm F4-5.6と比較して、同じ焦点距離でも実際は
5%~10%はこちらがより長め。

W端の35mm、35mm換算で55mmは絶妙でファインダーを覗いた時点で
見たまんまの画角になっていて、無駄なズーミングが不要。
まだ手にして無いも、主流の単焦点レンズが50mmなのは頷ける。
50mmレンズをAPS-Cで80mm相当で使うのは個人的にはヘンだと
思ってたが、これをもって改めて確信した。
なので今後も手にすることはないだろう。

巷ではW端28mmが人気で35-105mmや35-135mmはあまり高い値が
ついて無いけど個人的には無駄が無くて全然おいしいゾーンと思う。
ただし当然ながら、屋外であっても木々生い茂る遊歩道など
目の前にいろいろある景色はやはりフレームに収まりきれないので、
「便利」をお望みなら素直にW端28mmをお買い求めになったほうがいい。

(価格差を考えたらサブにコンデジひとつもっていきゃいいだけだと
個人的には思うのだけど)


【発色】
EF 28-90mmやEF-S 18-55mm F3.5-5.6 USMと比較すると、かなり
見たまんまの色で出る傾向。
甘いコントラスト・甘いエッジも相まって人肌を撮るにはもってこい。
オリンパスほどでは全然無いが、比較的新しいレンズはわずかに
青めに出るも、こちらは比較的暖色寄り。昭和のかほり。
新しいほうは逆光に強いので、コーティングかなにかの違いの
せいなんだろう。知らんけど。


【AF速度】
USM非搭載であるも、距離表示窓から見ると
7M~∞が円周約1cmであるため、レンズ直径からすると
屋外実用域で前玉の回転する角度は20°程度。
時計で言うと12時と1時の間よりも回転する角度は小さい。
なので割と素早い印象。
普通に撮っててスコンと∞端にあたる事もしばしば。
屋外でスナップなどに使用する分にはよほど目の前からいきなり遠くへ
フォーカスを移動しない限りAFはサクサク。
作動音も「チッ、ジッ」程度なので、「ジーコ」と
うるさい感じはしない。

前玉をフルで引っ込めた状態で∞なので、屋外では
スイッチオンでそのまま素早く利用できるはず。
(ただし上述の通り画角はかなりタイトめなので被写体をきっかり決めないと
なにがなんだかわからないものになりうる)

でもって距離表示窓。
・マクロ域~1.2m ※
・1.2~1.5m
・1.5~2m
・2~3m
・3~7m
でそれぞれ円周約1cm(※部は約2cm)程度ずつあるので、
屋内であわただしく撮るとかなりジーコジーコ。黒電話か。
単純な話7m未満ではフォーカスが動く距離がそれ以上より
6倍ないしそれ以上になるのでそりゃあ遅い。
なのである程度腰すえて「どこからなにを撮るか」決めてかかる
必要がある。

ただ、手振れ補正がついていないので室内であわただしく
撮るなどと言う使い方はそもそも向かないのだが。
屋外であっても子供と一緒にお散歩、目の前の子供を
後ろ向きに歩きつつパシャパシャという撮り方もアウト。
その点で言えば万能お散歩ズームとしてはUSM搭載で
最短撮影距離の短いほうにだいぶ分がある。

なにより今日びの望遠ズーム並に長いので持ち運びには
正直かさばってしょうがないから本腰すえて人を撮るとき以外
あまり使用機会はないのが実状。
人をとるには本当もってこいなんだけど。

話戻って、「万能」「便利」を期待してよりW側の焦点距離が短い
28-105とか28-135(ともにUSMなし)に手を出そうもんならかなり
期待はずれな結果となることでしょう。
万能を求めるならUSMつき、そうでないならUSMなしでも
大丈夫と考えるとジャンクあさりもやりやすい。

EOS KDN ISO800 171mm(35mm) SS1/160 F4.5
DPP:スタンダード(シャープ0)


■比較
どちらもWBオート&シャープ設定0。
フォーカスポイントは葉脈の中心。ちなみに風が強くブレ気味。
植物がいきいきしているさまをさす「青々としている」という
日本語は、ブルーではなくグリーンを指していることを
ふとあらためて認識。
この葉脈に沿うふっくらした立体感のあたりがよろしい。

EF 35-105mm F3.5-4.5 105mm F5.6 1/160


EF 28-90mm F4-5.6 III 90mm F5.6 1/160