2017年11月14日火曜日

パープルフリンジと紫外線とUVフィルタ

今回はムダなものを買わそうとする風潮に一矢報いたい企画。


■UVフィルタには意味がない

パープルフリンジは紫外線が原因となりうるという説がある。
またそこから、UVフィルタは有効であるという文脈で語られる。

なぜ目に見えない紫外線が目に見えるフリンジに変化するのか。
そこでは屈折を理由に語られることが多い。

時に光の三原色にのっとると「紫」は

青と赤

でできているのである。
光を感じるセンサーは

赤いきつね
緑のたぬき
青いうさぎ

この3つしかない。
紫の波長に感光するセンサーがあるなら話は別だが、んなのはない。
どっこい赤は緑をはさんで青の対極にある色なのであって黄色みたいに
単純な話で検知・つくられるものではない。

センサーにおける紫色の検出を語るソースとして多分有名どころの
インターネット・アーカイブにあった「デジカメと紫色」を読むと
赤色センサーの領域を青色まで伸ばす仕組みが記載されている。
しかし赤センサーが青領域で拾える感度はかなり低い。ほぼない。
増幅する仕組みについても話もあるが、基本的にセンサーは
純粋な紫の波長にはめっぽう弱いのである。
すんませんきちんと拾えませんというレベル。

であるならば、だ。
元・紫外線がちょいとひん曲がったくらいのものが明確な青色の光ないし、
青色センサーと感度微弱な赤色センサー両者が満を持して拾い上げられる
ほどの強い紫色の光に変化するとでも言うのだろうか


答えは絶対ノーだ。
そもそも「デジカメと紫色」でも、純粋な紫の波長は拾えないと言っている。


今一度確かなことを整理する。
・鮮やかなパープルフリンジは、紫色である。
・イコール、紛れもなく青色と赤色のセンサーで検知している。
・青色センサーは青色より波長の短い領域を満足に拾えない。
・赤色センサーは波長の短い領域をほとんど拾えない。

この時点で紫外線が純粋な紫の波長に変化して写るなどというのは
ありえないのである。
ではパープルフリンジ正体はいったいなんだろかってーと、そりゃ紛れもなく

可視光による色収差でしかない。
端で発生したなら倍率色収差だし、中央部で発生したならそりゃ軸上色収差だ。
単体の青い可視光か、青い可視光と赤い可視光が合わさった紫の光だ。
決して紫外線に由来するものではない。
よって、UVフィルタに意味はない。



■もしパープルフリンジにUVフィルタが効果があるというならの仮説

いろいろありますわね、ネット上に。
これを考えてみる。

それは対照実験で撮り直した際ピント位置に差異が発生したものである。

ピントがより正確な方へ寄ることによって軸上色収差のなりをわずかに抑えた
結果でしか無い。それ以外に画質に影響する要因がない。
改めて大雑把に言えば、UVフィルタに効果があるのだとしたら、紫外線は
写りそのものに影響しているのではなく、オートフォーカスに影響している。

いったん断っておくと、今書いてるのは「フリンジはぜったぜったい紫外線と
関係あるんだい!高いお金出してL41フィルタ買ったんだいウワーン」という
人のため、紫外線にリンクするようにこじつけているのである。
書いてる本人のためでもある一方、そんなバカなという気持ちもありありである。
ただただ楽しんで書いてるのである。

もーちょい踏み込むと、レンズで紫外線の屈折が起きるがこれは問題ではない。
問題は、位相差AFを行う際に登場するカメラ内部のセパレータレンズである。
(セパレータレンズ・AFセンサ自体で写し撮るわけでないので、こいつらの
解像精度はまったくとは言わないがそこそこどまり)
ここに届いた時点で紫外線そのものがAFセンサーを撹乱しているか
あるいはAFセンサーが反応する程度まで可視光よりにシフトした
光によって悪さしだすなりして、対象物のエッジが実際とことなる
位置・形状をしていると判断させてしまうと本来のAF位置からズレてしまう。

※これは
「波長が変わるとAFがうまくいかない」
「色温度によってAF位置が変わる」
という説から派生させる形で書いている。

古い色収差の大きいレンズではL41までいかずとも一般的なUVフィルタを
装着するとパープルフリンジがグリーンフリンジになることがある。
これは上記の理屈でピント位置が微妙にシフトしたのであって、紫外線の
波長が劇的に変化し紫を通り越して緑色にまでなって直接的に
写りに影響したわけではない。
そんなフィルタあったらすげーわ。
(もっとも、縁がグリーンなるというのは赤色寄りにピントがずれてる寸法に
なるはずなのでこれが正しい位置にシフトしたというのはおかしいではあるが)

なおAFは開放でなされるので、絞ればフリンジが改善されるというのは
光の通り道を狭めた結果収差が収まるというおなじみの理屈であって
AF精度そのものに違いはない。
開放はにじむから絞ろうね、という理屈がフォーカシングには通用しない
以上AF精度を上げるには要らぬ光を抑えるしか方法が無い。
その方策としてUVフィルタは奏功するのだろう。
全部嘘だけど。

(まとめ)
少なくとも、コントラストAFを使用するコンデジにはUVフィルタは
効果をなさないというか、ハナから最良のコントラスト具合を見て判断して
いるんでより良くなる余地は多分ない。
なので、コンデジや位相差AFを使用しないミラーレスにUVフィルタは意味がない。
というか、普通コンデジにフィルタつけられない。

また、位相差AFを用いるデジイチにおいては色収差の小さい優秀な
レンズではUVフィルタの効果はごく小さいかほぼ見られない。
つかそもそも作りが良好ならフリンジが起きにくい。
MF派にいたっては無縁。絞るか己の眼とウデでどうにかしてくれ。

要するに、UVフィルタはオートフォーカスの保険程度に考えておくのが
ベストであって、レンズの出来が良ければプロテクターがわりにつけてる
1000円台のMCUVフィルタで十分だということ。
※個人的にはマルミのMCUVよりケンコーのL39のほうが迷いが少ないイメージ

ただ真夏のビーチや真冬のスキー場、空をバックに飛ぶ飛行機やチッチを
追うような、紫外線が多い環境なら安牌切ってやっぱL41出動させるのも
アリっちゃアリかもしれん。
実際は南南東を向いて食べる巻き寿司程度の効能と思うので
高いZeta買わなくていいと思うんだけど。買っちゃったけども。

一方つくりのよくないレンズにL41なぞつけてもフリンジ除去という観点で
言えば実質無意味。ただし自然光下のAF精度に不満がある場合はある程度の
救済になるかもしれない。
残念なEF80-200mm F4.5-5.6 USMは手放したから検証できないけど。

余談を言えば、UVフィルタでコントラスト改善などという実験は無意味で
それは可視光に同じくPLフィルタの仕事である。

要するに、ミクロの世界でピント位置追い求めるよりも1/3段でもいいから
とにかくまず絞ったほうがずっときれいに撮れるよってこった。