2018年4月6日金曜日

D.L.オプティマイザは有効なのか? EF100-300mm F4.5-5.6 USM

清水の舞台から飛び降りたこともないしどこにあるのかも
よくわからんが思い切って中古15K円で手に入れた
EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM

こいつひとつでミサゴを追う身として

あと一歩、もうあと一歩でいい、寄りたい!

と日々悶々するわけで。
また、どうもこの55-250mmSTMの癖なのか、ほぼピン位置なのに
いちいち盛大に手前までデフォーカスする挙動が気に入らない。
モーター自体は速くなくともそこそこ悪くないだけに台無し。

しかし300mmかつ速いAFを求めるとなると中古でも諭吉さんの
枚数が3倍以上になるEF70-300mm F4-5.6 IS II USMくらいしか
ない一方で、もっと上を見ると桁が変わってしまうという有様。

そんな状況に苛まれつつも

もっと焦点距離を!
もっとAF速度を!
もっと光を!(開放F値の意味で)…は、諦めよう

という渇愛がMAXまで来た昨今、しかし先立つものはありませぬ。
先立つもののない不幸について許してもらう相手もいない以上
もはややるかたないので少ないというか唯一の選択肢である

EF100-300mm F4.5-5.6 USM

に救いを求めることになる。
が、なにぶん昭和天皇と日経平均株価が崩御した翌年という
ジャパニーズビジネスマンが仕事に遊びに24時間戦っていた
レディオと日本経済が壊れかけな時代の代物。

250mmと300mmの違いってあるかいな
DLO対応とはいえデジタルな21世紀タタカエマスカ?
言うほどリングUSMってAF速度あるんかねほんとに
ISないけど手ブレもSSもどこまで持つのか

などなどの不安材料を抱えつつポチる。
実戦投入の前にポテンシャルを探るべく55-250mmSTMといかほど
張り合うかを見に行く。


■250mmと300mmの違い

3年前に中古7500円のKDNレンズキットを手にした時点で僕は
キヤノン畑でつかまえられてしまったんだぜ、なあフィービー。
なので他所の事情はよく知らんが噂ではニコンの望遠キットレンズは
300mmあるらしい。
モーターがなんぼのもんか知らんが少なくとも焦点距離だけで
いえばキヤノンでなきゃ苦しまずに済んだのかもしれんが
まあそんなのいったん置いとくとしてだな。

250mmと300mmなんてほとんど差はないですよー

なんて、自称カメラ初心者の女子ですぅー子持ちママですぅー
みてえなアイコンを見つけてはワタクシ優しいおじさまですって
自称ハイアマが知った顔して(ネット越しだから見えてないって?
そんなの知るか)価格コムの掲示板だのなんだのでノーガキ
垂れるもんですからこちとら

ハイソーデスカ

って口が裂けたら言えない。痛いもの。声も出まい。
だってだよ、250mmと300mmって1.2倍なわけだ。
1.2倍ってったら24インチディスプレイと比較したらおよそ
29インチ相当との差があるわけだ。
それを差がないですよwwとかのたまうお前んらは
24インチでFPSもRAW現像もやっとりゃええんじゃとまあ
面積比で二乗の44%アップはそりゃ見てわかるだろう
という見立てを立てる。

んでその結果。
対象はおよそ300m先の屋根。

EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM テレ端250mm F5.6 1/320 ISO125


EF100-300mm F4.5-5.6 USM テレ端300mm F5.6 1/320 ISO200


ほらーやっぱあるじゃんー・・・そこそこ。
レンズ交換してる間にお日様出てきて違う画になったけど
大きさにゃ関係ないからいいや。


■画質の差を埋められるのか?

まあぱっと見違いがあるってことはわかった。
が、それと同時に

300mmの開放って悲惨。
250mmの開放って優秀。気になるのは周辺減光くらい。

とまあ他所の女抱いて改めて女房の良さがわかるというか
女とワインは古い方がいいというか。
どっこいここで褒められたもんなのは新しい畳のほうで1990年物の
ワインはどう飲み下してやればいいのか。

いやいや美味いワインづくりはまず搾るところからはじまると
いうから、とりあえずは絞ろう。キヤノン 一段絞り。

以下DPPオプションはデジタルレンズオプティマイザ適用量50・色にじみ
補正以外はデフォルトママ。
ISOを揃えるとかミラーアップするとか、実戦と異なるコンディションでの
比較には興味ないので手持ちISOオート。

F5.6 1/320 ISO200(上のものといっしょ)


F8 1/320 ISO400


F11 1/320 ISO800


とまあ、絞れば順当にシャープさは上がるが等倍では
今一つ色にじみがスッキリせずやや眠たい。
が、APS-Cで等倍とかいうのもナンセンスに思うので
そこんとこは気にしないでおく。

大きさが倍以上違うフルサイズの真似して貧乏人が
等倍がートウバイガーってのたまうこと自体が恥ずかしい。
同時期の5DmkIIなんかフルサイズで21Mピクセルなのに
その4割程度しか受光面積がないKissX3なんて15Mもある。
いやいやそこは無理って。
等倍どころか縮小してやっと張り合えるってもんだ。

今一度絞りの違いを見に行くと、F8に比べるとF11のほうが
確かにシャープさはより向上している。
が、一段絞った時点での画質向上度合いに比べるとさほどと
いったところ。
ただ被写界深度の影響もあるだろうからあらためて純粋に
中央部分を見に行く。
ここでは不本意ながらもあくまで比較手法として

等倍 ←wwwww

切り出しで確認しにいく。
せっかくだから俺は比較対象に250mmをSR100x100
同サイズに拡大したものを貼り付けるぜ。

300mm F5.6


300mm F8


300mm F11


250mm F5.6 元画像x1.2倍


光量もありISOも低く抑えられてなおかつ手振れ補正までついて
圧倒的に優位な250mmでは丸い軒瓦の模様が全く見えないが
300mmではISO400ながら一段だけ絞ったF8の時点でちゃんと
凹凸のニュアンスが出ている。
F11は高感度ノイズが邪魔するがさらにディテールが増している。
あれぼろ負けかと思いきや案外健闘。
いやいや250mmだって絞れば画質が上がって追いつくかもしれん。
念のため見ておく。

250mm F8 ISO200 元画像x1.2倍


250mm F11 ISO400 元画像x1.2倍


はい、追いつけません。追い越せません。
一段絞ったあたりでやや向上している感じがある一方、むしろ
F11は絞りすぎのようで、却って悪くなっている。
この結果はこちらさん↓の結果に一致する。
試しちゃいないがおそらくF7.1くらいがピークなんだろう。

レンズの絞りと解像力について
http://hajime3776.fc2web.com/lens-resolution.html

Pオートで基本開放か一段絞る運用となるユーザーを想定しているのかも。
個人的には開放で満足だけど。

ともあれ55-250mmSTMが逆立ちしても手が届かないところまで300mmは
伸びるということはこれでハッキリした。
見たまんまを言えば、F5.6であれば250mmも300mmも違いがさほど無い。
違う言い方であらわすなら、開放でしか撮らないうちは250mmと同等で
100-300mmはF8以降で撮ってはじめて本領発揮といえる。
ただこれはあくまでディテールの表現に限った話だが。

- 5/8追記 -

他レンズとの比較・絞りごとの画質の違いは下記でまとめた

EF55-200mm F4.5-5.6 II USM
http://mu-san.blogspot.jp/2018/05/ef55-200mm-f45-56-ii-usm.html

-追記ここまで-


■安レンズ界で定評のAF番長とはなんぼのものか

55-250mm STMに比べるとモーターの速度は目を見張るほど早い
という感じはしない。
前述のとおりSTMは決してチョッパヤではないが、7000円で購入して
から1週間後2000円で手放したEF-S55-250mm F4-5.6 IS IIほどの
ノロノロとは雲泥の差なのである。
ただし前述のいったん手前までデフォーカスする迷いが遥かに少ない
という点は優位。

距離表示窓は以下の通り。数値は大体。
飛びものが30mより近くに来ることはまれなのでだいぶ回転角度は小さい。
カモメやアジサシなど比較的大きめで人懐っこいやつは7m~30mのレンジで
捉えられるためすっぽ抜けない限りは比較的歩留まりは高いはず。
M - 3m 1.5cm
3m - 7m 1cm
7m - 30m 1cm
30m - ∞ 0.5cm


■弱点はフリンジ・収差

標準ズームのように小さい開放絞り値と非球面レンズの組み合わせという
概念がないものですからまー300mm開放の収差は大きい。

ピントの合わない部分は当然ながら、合焦範囲であるはずなのに縁取りは
マゼンタにグリーンに彩られるというスペシャルエフェクト機能搭載。
もうこれ一本で「エモい」写真だって撮れちゃうね。素敵だね。

ただエモい写真にゃ興味がないので21世紀の技術で補正かけることにする。
サンプルは300mm開放から切り出し。

DLOオフ


DLO適用量50


+DLO適用量100


関係ないけどなんで適用を「適応」って言う人あんないっぱいいるんかね。
環境に適応するのはその主体であって、パッチ適応ってじゃあそのパッチが
自律的に動いて自動でいろんなOS環境に適応していくんかい、お前は自分で
自分をリコンパイルできるんかいすげーな、っていいやこの話は。

んでまーせいぜい後付けの補正処理なもんですから劇的な効果はなくとも
ないよりマシといったとこ。
実際きちんと絞って、仕上げにかけるような用途なので致し方あるまい。
だけどもフリンジのような出方はともかく、わかりやすい収差はきれーに
処理できるのでDLO対応というのはなかなか強力。
基本的にシャープネスの改善というよりは収差の改善を図るもののようで
解像感についてはあくまで副次的な効果と考えたほうがよさそう。

DLOオフ


DLO適用量50


ちなみにこの点はさすが21世紀の技術で55-250mm STMに一日の長というか
7600日の長があるんでして逆立ちしても勝てぬ。
以下は逆光下での電柱というフリンジのお手本。いずれも補正なし。
適当に撮ったんでピント位置違うけど気にしない。

EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM 250mm開放 DPPデフォルト(DLOなし)


EF100-300mm F4.5-5.6 USM 300mm開放 DPPデフォルト(DLOなし)



■シャッタースピード、絞り、ISO。どれを取るか、どれを捨てるか。

この暗いレンズを煮て焼いて食うには
・どれだけ絞れるか
・どれだけシャッタースピードを稼げるか
これらとの戦いである。
最優先で捨てにかかる候補はもうISOしか残ってないのである。
ここでこのレンズにおける現実的なISO常用範囲で見比べてみる。
別途検証でベストはF10であることがわかっているので、
それぞれ最低ライン・最高ラインのF8・F10で見比べる。
風が強い中手持ちで検証。

ISO400 F8 1/800


ISO400 F10 1/500


ISO800 F8 1/1600


ISO800 F10 1/1000


着目点は右上の網。
結果から言えば
・ISO400では3ケタSSとなり単純に足りてない
・ISO800のF8ではSSは足りてるが解像度がもう一歩。でもニュアンスは十分
・ISO800では画質低下よりも絞り・SSが稼げるメリットのほうが大きい
なのでISO400なんかもう要らんちゅう話になる。
高感度耐性が高いセンサーならもう一段上げても問題ないだろう。


■実際の運用方針

基本F8の絞り優先オートにしつつISO800決め打ち。
天気やお日様の高さと相談してISO400に切り替え。
ISO800でSSが1/1000を大きく割るようならそこでこのレンズの運用は
終了してISつきに切り替えるか、いっそ引き続きF5.6まで下げて
ガマンの子に徹するかチョイス。

300mmはより被写体が大きく映るので、シャッタースピードについては
手振れよりもむしろ被写体ブレに気を付ける必要がある。
なのでシャッタースピードは最低でも人の動作が止まる1/160あたりに
なるが、フレームいっぱいに入る場合はブレるので倍の1/320が目処。
一定の歩く速さ程度での目安は
被写体が全身入る…1/160
上半身はいる(1/2ボディ)…1/320~1/400くらい
肩から上のアップ(1/4ボディ)…1/480もしくはそれ以上
こんな感じ。

また、300mmは250mmに比べてほぼちょうど1段被写界深度が浅いので
素早いものを追いかける場合やピント精度の予防線を張る意味では
画質もさることながらやはり最低でもF8以上の運用が必要と感じられる。
F8でさえ半身まで寄る場合だとすぐ隣の人がすでにピンボケになるほど
被写界深度がかなりシビアになるためあえて寄りすぎず少し引いた上で
後でトリミングするという戦略もありかと。
以上のことからも開放の写りがどうのこうのはどうでもいい話。

ま、中古7500円のX3と中古3000円のレンズで日没1時間前に
こんだけ撮れりゃ文句ないわ。
要するに、ナイチャーが思ってるほどイクマあきらは沖縄では
全然有名じゃないよってこった。

300mm F5.6 1/400 ISO1000 DPP(DLO50/色にじみ低減ほかデフォルト)



■レンズフードについて
メタルフードは三段重ねでもケラれず、
58mm-52mmアダプタ→52mm→58mm→62mm
が可能。
一個だけなら自重で伸びることはないが、三段となれば遠心力で
ビヨーンするんで必要な時にだけ二段足すといいはず。
ただあまり長くても不格好なのだが見栄でマフラーカッター買って
つけるようなコッドピースドレスアップと思えばいいだろう。
ケラれてるわけでもないんだし。

ただしそこそこ目立つので俺カメラかじってるんだけどさみたいな野郎と
依存性パーソナリティの強いそのツレにすれ違い様
「オレ今度広角レンズ買うんだよねーやっぱカメラは広角だよなー」
「わーたっくんカッコイー」
などと何に対象が行ってるか構図もなにも定まってないパンフォーカスの
ような会話を聞かされる羽目になるので注意。
何のマウントを取りたいのかわからんがこちとらEFマウントにしか
興味ないのでほっとく。

広角好きってのはきっと遠近法で自分を大きく見せるのが好きなんだろう。
大きいクルマに乗ってる男はちんちんが小さいってミセス・ダウトファイアも
言っていることからほぼ違いない。



■ちなみに広角側

望遠側もう50mm!というのが購入の動機なのでW端にゃ深く触れぬが
定評通りいい写りであることは確か。
順光下で撮ったものはシャープでフリンジも見当たらず開放から問題ない
仕上がりで30年前のレンズながらバカにできない。

100mm 1/200 F7.1 ISO100 DPPデフォルト(DLOなし)


100mm 1/3200 F4.5 ISO100 DPPデフォルト(DLOなし)



■(余談)100mmに最短撮影距離も

なにもあったもんじゃないと思うけど一応メモっとく。
最短撮影距離は55-250mmSTMのおよそ倍で1.5m。
実際の取り回しもおおむねそのまんまで寄れる感は乏しく、
最大撮影倍率は0.2と55-250mmSTMの0.29に見劣りする。
ただ寄ったところで毛穴撮るわけじゃないので人はまず撮れないし、
近づいてくるネコも1.5m先時点ではいシャッター切れませんと
まあもどかしさはなくもない。
自分は花屋さんじゃないのでマクロにゃ興味ないので気にならんが。
55-250mmSTMなら数歩引けば目の前の人を撮ることだって一応
ギリいける画角にゃなるんで望遠が必要なイベントでも
一本でいけるがこいつは難儀する。

300mm F11 1/320 ISO400 DPP(DLO50適用/色にじみ低減適用なし)
-0.17EV/コントラスト-2/シャドウ1/色の濃さ1/シャープネス5



■(おまけ)試し撮り

DLOかませばまあまあいけるのかな。
DPP4が旧い型でも使えることを書き終えてようやく知る。

空飛んでたコンチネンタルの偽物みたいな配色ロゴの飛行機。
N464MCとある。どうやら嘉手納に来る様子。
300mm F11 1/400 ISO250 軽く補正&2700x1800トリミング