2018年5月8日火曜日

EF55-200mm F4.5-5.6 II USM

おまけでキヤノン望遠ズームレンズ3種比較。

【総評】
キスデジの登場とともにリリース。
中古オク相場はおおむね1000円台。

キットレンズはのちにテレ端が50mm伸長かつISつきの
EF-S55-250mm F4-5.6 ISにとってかわられることになるが
まがりなりにもデジタル前提だけあってそこそこの実力。
DLO対応であるため人気があってもよさそうだが、世のお金持ちは
レンズキットをお求めになっておりかつニーズはAF速度でなく
手振れをどうにかしたい方向なようで今日び相手にされない子。

もし手ブレ補正が要らないのであればEF-S55-250mm F4-5.6 IS STM
よりこちらを手に入れるとかなりコスパいいんじゃないかと思う。
もちろんAF速度なんか要らぬという人には向かないが。

【画角】
前玉繰り出し方式のためインナーフォーカス方式に比べると
最短撮影距離近辺では
15%程度焦点距離が長く大きく写る。
一方ワイ端∞遠では、実際に比べたわけではないが55mmより
もう少し広角寄りの印象で体感的には40ミリそこそこ。
表現が適当だが、左右の目を開けた状態で見えるものの大きさが
見事に一致する具合。
よってIF方式の逆で近くのものはより大きく、遠くのものは
より小さくなる傾向があるということになる。
その点で言えばIF方式の250mmに比べると実用域では体感的に
200mmとしてはやや物足りなく感じるかもしれない。

最短撮影距離は1.2mとさほど寄れず、そこを切るとまさしく
ウルトラソニック級の高音をモーターが発するので耳にも
精神衛生的にもダメージがあるので無理はしないほうがいい。

【ワイド側画質】
開放F4.5はややにじみあるも縮小前提であればOKなレベル。
むしろ十分シャープといっていい。
1/3段絞った時点でほぼ頭打ちになりここらが常用。
SSも落ちないし開放にこだわることもないだろう。
100mmと違い被写界深度もそこそこあるのでうっかり開放ままで
撮ってもピント外でフリンジがガツンと出るようなこともなく、
DLOで修正可能な範囲の僅かな収差が出るだけで問題ない。

ただやや線が太い感じがして被写界深度内にいるすべてのものが
主張してくるのでコンデジのパンフォーカスで撮ったように
全体的にうるさい画になりがちと感じる。
好みによるがコントラスト・色の濃さを2~3ノッチ抑え気味に
すると自然な仕上がりになるかと。

ともあれ以下に中央部等倍切り出し(よこ4762→840px)貼っておく。
現像オプションはDLO適用以外デフォルトまま。

55mm F4.5 1/1600 ISO200


55mm F5 1/1600 ISO200


【テレ側画質】
開放はボケボケで使い物にならないが絞ると順当に画質は向上しF8で頭打ち。
よって実運用では一段絞ったF8固定でいっちゃう感じ。
一段絞った時点で250mmSTMに比肩するのはポイント高い。
実写比較はのちほど。

【オートフォーカス】
AF速度は俊敏でリングUSMのEF100-300mmUSMに対してひけをとらない。
その一方開放での解像性能の悪さがAFに影響し、コントラストが
甘い被写体・部位にAFポイントが定まると途端にピントが来なくなる。
なので意識してコントラストの高い場所に定める必要があるが
実際は画用紙撮るようなことはまずないと思うので問題はなかろう。
すっぽ抜けてもリカバリ早いし。

ただ一点気になるのは、テストでパカパカやってた際、最短撮影距離
付近のせいか同じポイントでフォーカスしなおすたび微妙にAF位置が
前後する挙動があった。
一度決まったらあとは何度半押ししてもAF変わらずにいてほしいのだが
どうもそういう風ではない。
まあ通常の撮影距離・常用F8では被写界深度的に問題ないレベルなので
別に気にしなくていいっちゃいいが。

なお、つくりがちゃちいせいでAFはガタガタと視界が揺れる。
船酔いする人は要注意。いや冗談だがけっこうなもんよこれ。


■画質比較

後述の実写比較結果をグラフ化したものを先に載せておく。




■実写比較

ここでは下記3種を用意した。
カメラはいつものX3でRAW撮り。

・(200mm) EF55-200mm F4.5-5.6 II USM
・(250mm) EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM
・(300mm) EF100-300mm F4.5-5.6 USM

中心部の絶対的な解像性能を測るべく、下記手順で画像を用意した。

1.2m先にあるネトウヨのみなさんが嫌いな新聞をテレ端で撮る
条件はISO100固定。SSは3種ともに横並びでF8で1/2、F11で1秒であった。

2.RAWを現像。DLO適用以外はデフォ設定

3.Buffで画角がほぼ同じになるよう、下記の通り中心部を切り取る
200mm:640x480
250mm:704x528
300mm:840x630

4.R13で960x720にLanczos4方式で拡大→jpg保存

あまりたくさん載せてもしょうがないので開放と1段ずつ絞った
ものをのせておく。あとはグラフで十分だろう。

※注
カッコ内はアップロード時点での元データの画像サイズで、
blogger側で再圧縮かかった後のものではない。
また、250mmSTMは早々に頭打ちであることがわかっているので
1段絞った時点で打ち切った。

・EF55-200mm F4.5-5.6 II USM

一段絞るとじゅうぶん使える画質になる。
むしろそれ以上絞っても意味が無い。

F5.6(376KB)


F8(438KB)


F11(446KB)


・EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM ※ISオフ

F7.1~F8で頭打ちのためここでは1/3段ずつ絞った結果を載せておく。
明るさからすると開放の画質はまあまあがんばっているが、画質で見るなら
やはりF7.1あたりがベストチョイスだろう。
こうして見ると開放でもギリ食えなくないという点はアドバンテージだが
じゃあ常用しますかと言われるとそーでもないので実運用上、200mmに比べて
SS稼げないため手ブレ補正しかメリットがない。
スポーツや飛んでる鳥などSSを落とせないようなものを撮るのであれば
別にこっち買わなくていいんじゃないかと思う。

というか、絞ったところでガツンと画質は上がらんし200mmと差がないしと
なんか微妙な感じがしないでもない。いや手ブレ補正は有難いけども。
300mmと200mmの間くらいになれば順当なのだがそうはなってない。
これらより純粋に250mmレンズとしてみた場合、大して出来は良くないと
言ってしまっていいと個人的には考える。
あえて言うなら55-200mmに手ぶれ補正がついた感じ。
STMのままでいいから同じくらいの値段で2型出してほしい。

F5.6(422KB)


F6.3(439KB)


F7.1(448KB)


EF100-300mm F4.5-5.6 USM

1/3段の差以上に違いが大きいのでF7.1を追加で載せておく。
F10とF11ではそれぞれ574・573KBとなり差が出なかった。
それにしてもよー写るなこれ。
開放の画質と手振れ補正がない点がいかんともしがたいが使いようによっては
とんでもないお買い得レンズ。
でも万人にはおすすめできない。

F5.6(463KB)


F7.1(486KB)


F8(543KB)


F11(573KB)