2018年5月17日木曜日

中古車は何年落ちまで買っていいのか

ここでは乗用車ベースで見に行く。
データは以下のもの(乗用車計、3・5ナンバーあわせたもの)を基にし
グラフを作成した。

一般財団法人 自動車検査登録情報協会
わが国の自動車保有動向
https://www.airia.or.jp/publish/statistics/trend.html

・保有台数


グラフを見るとH13年式にいたっては100万台を割っており、これは
21世紀に登録されたクルマの3%に満たない。
よって、ほぼ好き好んで乗るものでないと言っていい。
一方世の中では新車ホヤホヤに乗ってる人が多いことがわかる。
みんなお金持ちね。

・減少割合


この数値をこう勝手に読み替えてみる。



H28年度中(2016年4月~翌3月)で、最も手放された年式は台数ベースでは
H15年度のもの。
売れたモデルや景気・需要サイクルなどもあるので割合で見てみると
上記のとおりH17・19年度に初度登録したものが多かった。
n年落ちを車検ベースでみると3+2x5=13(年目)以降2年ごとに高いため、
それぞれ14年目・16年目・以下略に受ける車検前のタイミングで
手放されたと推測される。

傾向としては14年目(6回目)の車検を前に手放すグループが先行して存在し、
これがその年度において残存ユーザーの1割強が動く。
次に大きく動くのは16年目(7回目)の車検前での抹消組。
この時点でその年度に登録されたすべてクルマの半数がドロップアウト
することとなる。
これを言い換えると、

世の半数のクルマは7回目の車検を受けない

ということになる。
この点について次項で広げる。

・自分で書いててこんがらがってきたのでメモ
~ここでの車検ベースの数え方~
3 / 5 / 7 /  9 / 11 / 13 / 15(年後)
4 / 6 / 8 / 10 / 12 / 14 / 16(年目)
1 / 2 / 3 /  4 /  5 /  6 /  7(回目)

・どこまでなら買いか
やっと本題。
上記の減少率を積み上げたものを残存する割合の目安としておく。



この結果を10%ずつ区切ってドロップアウトする期間を見てみる。
数字はだいたい。

90% 7年目
80% 10年目
70% 12年目
60% 13年目
50% 15年目
40% 16年目
30% 17年目
20% 19年目

こうして見ると、3割の時点でやや下げ止まりが見られる。
以降はよほど廃車にしたくない層がいるのだろう。
およそ17年目で7割の車が死滅するが、ここらがコスト的に
絶対的な耐用限界を迎えるものと思われる。
また、16・18年目にいたっては1年以上車検が残って
いるにもかかわらずそれぞれ1割以上の残存ユーザーがクルマを
手放すことを決意していることがわかる。
ということは、何かしら買い替える必要性・イベントが
その時期に発生する確率がそれだけある
とも推測できる。

さすがに3割まで維持するとなると確率的に厳しいし修繕コストも
バカにならないので平均である15年目いっぱいまで維持するのが
まあOKというラインだ。

よって現時点(H30)では

2年運用:H17年式・14年目(6回目の車検を受けた直後)~15年目
4年運用:H19年式・12年目(5回目の車検を受けた直後)~15年目
6年運用:H21年式・10年目(4回目の車検を受けた直後)~15年目

という運用がリスクが小さい。
16年目以降は壊れるまで乗って、コストがかかるようならもう諦めるという
考え方もアリだが、もーダメな頃合いなのでいざ壊れて慌てるよりは
車検通さず手放したほうがいいと個人的には思う。

ここでたとえば予算月1万円ペースで減価償却を考える場合、

残り2年前提のH17年式なら24万円
残り4年前提のH19年式なら48万円
残り6年前提のH21年式なら72万円

このあたりがラインとなる。
このラインをもとに、その年式の中でより安く走行距離の短いもの
その他状態のいいものを探すとよろしいんじゃないかと。

現状、H23年は少し差があるがH19年とH21年で価格差があまりなかったり
するのでH21あたりをチョイスするといい買い物になる。

ただし中古であるがゆえどうしてもメンテ費用は発生するので
ベストは上記基準より安いものをチョイスしつつ差額をメンテ費用として
予めプールするか毎月積み立てておく心構えが必要。

10万km前後で壊れやすいオルタネータはリビルト品で数万程度で
交換がきくが(人生で4回交換したのでもう慌てない)、エアコンとなると
10万は見ておいたほうがいいというか実際問題まず廃車決定。

現実的にはメンテ費用を確保できない残り2年運用は向かないし
残り2年も乗らないクルマを直すかというとまー直さないのが人情なので
24万まるまる本体取得費用にまわして実質壊れたら直さず終了くらいの気持ち。

よって現実的には4~6年運用を見越し、修繕費用として10数万余力を
残した額をイニシャルコストに振り分けるといい。

例)4年運用(12~15年目:H19年登録車)、月1万円ペース
48ヶ月x1万円=総額48万円
本体価格:32万円(総額)
修繕準備費用:差し引き16万円

ここで残り2年切った時点で修理費が高くつくようなトラブルが発生したら
上記に同じく修理はあきらめるのも一考。
要するに、これまで/これからのコストベースが予算内に収まるのはアリ
だが、超えるのはナシだ。

確率的に5割は心もとないのであればもう2年ずつ使用開始〜終了まで
スライドすることで修繕費用見込みを低く抑えつつその分を取得費用に
まわす戦略もありかと。
要するに、単純に経過年数と不具合が発生する確率に相関関係があるならば
お金で新しさ=壊れにくさを買い、その分対策費用を削る考え。
ただし壊れるときは壊れるので、そのときあわてないように。

例)4年運用(10~13年目:H21年登録車)、月1万円ペース
48ヶ月x1万円=総額48万円
本体価格:43万円(総額)
修繕準備費用:差し引き5万円


【まとめ】

オイルやタイヤなどのメンテナンスや車検を除いた月々のコストと
運用年数をまず決めよう。
リスクを抑えるなら修繕費用を余裕もって見積って、残りの額の範囲内で
車両取得にかける。
多少追加での修繕費のリスクを取れるならば、ワンランク高年式にいって
不具合発生のリスクヘッジをしつつよりヘタリの少ないものをチョイス。

2018年5月8日火曜日

EF55-200mm F4.5-5.6 II USM

おまけでキヤノン望遠ズームレンズ3種比較。

【総評】
キスデジの登場とともにリリース。
中古オク相場はおおむね1000円台。

キットレンズはのちにテレ端が50mm伸長かつISつきの
EF-S55-250mm F4-5.6 ISにとってかわられることになるが
まがりなりにもデジタル前提だけあってそこそこの実力。
DLO対応であるため人気があってもよさそうだが、世のお金持ちは
レンズキットをお求めになっておりかつニーズはAF速度でなく
手振れをどうにかしたい方向なようで今日び相手にされない子。

もし手ブレ補正が要らないのであればEF-S55-250mm F4-5.6 IS STM
よりこちらを手に入れるとかなりコスパいいんじゃないかと思う。
もちろんAF速度なんか要らぬという人には向かないが。

【画角】
前玉繰り出し方式のためインナーフォーカス方式に比べると
最短撮影距離近辺では
15%程度焦点距離が長く大きく写る。
一方ワイ端∞遠では、実際に比べたわけではないが55mmより
もう少し広角寄りの印象で体感的には40ミリそこそこ。
表現が適当だが、左右の目を開けた状態で見えるものの大きさが
見事に一致する具合。
よってIF方式の逆で近くのものはより大きく、遠くのものは
より小さくなる傾向があるということになる。
その点で言えばIF方式の250mmに比べると実用域では体感的に
200mmとしてはやや物足りなく感じるかもしれない。

最短撮影距離は1.2mとさほど寄れず、そこを切るとまさしく
ウルトラソニック級の高音をモーターが発するので耳にも
精神衛生的にもダメージがあるので無理はしないほうがいい。

【ワイド側画質】
開放F4.5はややにじみあるも縮小前提であればOKなレベル。
むしろ十分シャープといっていい。
1/3段絞った時点でほぼ頭打ちになりここらが常用。
SSも落ちないし開放にこだわることもないだろう。
100mmと違い被写界深度もそこそこあるのでうっかり開放ままで
撮ってもピント外でフリンジがガツンと出るようなこともなく、
DLOで修正可能な範囲の僅かな収差が出るだけで問題ない。

ただやや線が太い感じがして被写界深度内にいるすべてのものが
主張してくるのでコンデジのパンフォーカスで撮ったように
全体的にうるさい画になりがちと感じる。
好みによるがコントラスト・色の濃さを2~3ノッチ抑え気味に
すると自然な仕上がりになるかと。

ともあれ以下に中央部等倍切り出し(よこ4762→840px)貼っておく。
現像オプションはDLO適用以外デフォルトまま。

55mm F4.5 1/1600 ISO200


55mm F5 1/1600 ISO200


【テレ側画質】
開放はボケボケで使い物にならないが絞ると順当に画質は向上しF8で頭打ち。
よって実運用では一段絞ったF8固定でいっちゃう感じ。
一段絞った時点で250mmSTMに比肩するのはポイント高い。
実写比較はのちほど。

【オートフォーカス】
AF速度は俊敏でリングUSMのEF100-300mmUSMに対してひけをとらない。
その一方開放での解像性能の悪さがAFに影響し、コントラストが
甘い被写体・部位にAFポイントが定まると途端にピントが来なくなる。
なので意識してコントラストの高い場所に定める必要があるが
実際は画用紙撮るようなことはまずないと思うので問題はなかろう。
すっぽ抜けてもリカバリ早いし。

ただ一点気になるのは、テストでパカパカやってた際、最短撮影距離
付近のせいか同じポイントでフォーカスしなおすたび微妙にAF位置が
前後する挙動があった。
一度決まったらあとは何度半押ししてもAF変わらずにいてほしいのだが
どうもそういう風ではない。
まあ通常の撮影距離・常用F8では被写界深度的に問題ないレベルなので
別に気にしなくていいっちゃいいが。

なお、つくりがちゃちいせいでAFはガタガタと視界が揺れる。
船酔いする人は要注意。いや冗談だがけっこうなもんよこれ。


■画質比較

後述の実写比較結果をグラフ化したものを先に載せておく。




■実写比較

ここでは下記3種を用意した。
カメラはいつものX3でRAW撮り。

・(200mm) EF55-200mm F4.5-5.6 II USM
・(250mm) EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM
・(300mm) EF100-300mm F4.5-5.6 USM

中心部の絶対的な解像性能を測るべく、下記手順で画像を用意した。

1.2m先にあるネトウヨのみなさんが嫌いな新聞をテレ端で撮る
条件はISO100固定。SSは3種ともに横並びでF8で1/2、F11で1秒であった。

2.RAWを現像。DLO適用以外はデフォ設定

3.Buffで画角がほぼ同じになるよう、下記の通り中心部を切り取る
200mm:640x480
250mm:704x528
300mm:840x630

4.R13で960x720にLanczos4方式で拡大→jpg保存

あまりたくさん載せてもしょうがないので開放と1段ずつ絞った
ものをのせておく。あとはグラフで十分だろう。

※注
カッコ内はアップロード時点での元データの画像サイズで、
blogger側で再圧縮かかった後のものではない。
また、250mmSTMは早々に頭打ちであることがわかっているので
1段絞った時点で打ち切った。

・EF55-200mm F4.5-5.6 II USM

一段絞るとじゅうぶん使える画質になる。
むしろそれ以上絞っても意味が無い。

F5.6(376KB)


F8(438KB)


F11(446KB)


・EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM ※ISオフ

F7.1~F8で頭打ちのためここでは1/3段ずつ絞った結果を載せておく。
明るさからすると開放の画質はまあまあがんばっているが、画質で見るなら
やはりF7.1あたりがベストチョイスだろう。
こうして見ると開放でもギリ食えなくないという点はアドバンテージだが
じゃあ常用しますかと言われるとそーでもないので実運用上、200mmに比べて
SS稼げないため手ブレ補正しかメリットがない。
スポーツや飛んでる鳥などSSを落とせないようなものを撮るのであれば
別にこっち買わなくていいんじゃないかと思う。

というか、絞ったところでガツンと画質は上がらんし200mmと差がないしと
なんか微妙な感じがしないでもない。いや手ブレ補正は有難いけども。
300mmと200mmの間くらいになれば順当なのだがそうはなってない。
これらより純粋に250mmレンズとしてみた場合、大して出来は良くないと
言ってしまっていいと個人的には考える。
あえて言うなら55-200mmに手ぶれ補正がついた感じ。
STMのままでいいから同じくらいの値段で2型出してほしい。

F5.6(422KB)


F6.3(439KB)


F7.1(448KB)


EF100-300mm F4.5-5.6 USM

1/3段の差以上に違いが大きいのでF7.1を追加で載せておく。
F10とF11ではそれぞれ574・573KBとなり差が出なかった。
それにしてもよー写るなこれ。
開放の画質と手振れ補正がない点がいかんともしがたいが使いようによっては
とんでもないお買い得レンズ。
でも万人にはおすすめできない。

F5.6(463KB)


F7.1(486KB)


F8(543KB)


F11(573KB)